小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。著書『SMAPと、とあるファンの物語 -あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど-』(双葉社)発売中

「モーニング娘。飯窪春菜が最後に魅せた”青春との別れ”」 #morningmusume18

 2018年12月16日。モーニング娘。10期メンバーの飯窪春菜さんが日本武道館でのツアーファイナルをもって、7年3ヶ月在籍したモーニング娘。を卒業しました。

 だんだんと加入時の年齢が幼くなっている最近のグループ事情では珍しく、2011年9月の加入時、すでに高校2年生だった飯窪さん。
 ちょうど時代はパフォーマンスレベルの高いステージで知られたいわゆる「プラチナ期」からの移行期、周りは経験豊富な先輩たちや、大きな伸びしろのある年少者ばかりで、歌・ダンス未経験のままモーニング娘。になった年長の彼女は、ファンの想像通り、やはり苦労が絶えなかったようです。

「歌、ダンスが未経験っていうことだけじゃなく、加入した時点で9期10期の中で最年長。何もできない最年長でいることが何よりしんどかった」

2018年12月16日「モーニング娘。’18 コンサートツアー秋~GET SET、GO!~ ファイナル 飯窪春菜卒業スペシャル」より


 そんな飯窪春菜の7年のモーニング娘。人生を思い返すとき、ファンの私の中に、今も心に強く残り続けている作品があります。
 それは今からちょうど1年前、2017年10月にリリースされたモーニング娘。の64枚目シングル、『邪魔しないで Here We Go!』。


 


 今まさに強い決心をしたばかりの女性を描いているこの曲では、最初と途中にその心情を表す印象的なセリフパートが入っているのですが、その大役を任されたメンバーの1人が、飯窪さんでした。


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 モーニング娘。に馴染んで以降の飯窪春菜は、本来の持ち味である「器用さ」を、グループ活動の中でいかんなく発揮していました。世代交代の最中にあった道重さゆみリーダー期にはすでにサブリーダーとして、グループの調整役を積極的にこなしています。
 だけどその一方で、器用すぎるあまりに、メンバーとしてはいつも自ら損する方を選んでしまう。
 それはグループ内の人間関係だけでなく、どこかライブにおいても、それこそ楽曲の表現に関しても表れていました。
 個性的な集まりをうまく調和させるために、あえて自分の色を消してしまう。
 他人を立てて、褒めて、いざ自分の番になると身を引いてしまう。

 実際彼女が参加した48枚目のシングル『ピョコピョコ ウルトラ』以降のミュージックビデオの歴史を順に追っていっても、それは如実に表れています。モーニング娘。の飯窪春菜は、いつも横や後ろの位置でグループに彩りを添える人。


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 そして本人もその期待に応えるように、大所帯ならではのアイドル人生を、ずっと真摯に、ずっと懸命に過ごしていたわけです。


 しかしそんな”センターではないモーニング娘。”にも、ある時ついに、目覚めの日が訪れます。

歌とダンス以外にもお芝居が好き、ラジオで喋る事が好き、漫画を紹介することが好き、ファッションが好き、海外が好き、人と関わることが好き、やりたいことがたくさん、夢も、本当にたくさんある

モーニング娘。'18 飯窪春菜の卒業に関するお知らせ


 他者に優しく器用な彼女の中では、長年きっと相反していただろう”自我”、つまりエゴ。
 しかし調和のために全てを捧げてきたモーニング娘。が、初めて自分だけの夢を叶えたいと、強く望んだ。

 今までの卒業発表コメントやインタビューを追っていくと、彼女が具体的に卒業を考え出したのはグループが20周年イヤーを迎えた2017年頃*4だったといいます。遡ればそれはまさに、あの『邪魔しないで Here We Go!』が新曲としてリリースされた時期でもありました。

 今までになく強いまなざしでカメラを見つめ、楽曲の主人公の意思を語っている彼女の姿は、まさに自我に目覚めたモーニング娘。その人の姿だったのでしょう。
 そしてそれはすなわち、まもなくやってくる”青春との別れ”を意味するものでも、ありました。


 ファンの私はAmazon prime video経由のBSスカパー!中継で、昨日のラストライブを、ちょうどリアルタイムで見ることができました。
 7年3ヶ月の活動を経て、弱々しかった16歳の少女は、いつしか24歳の立派な大人の女性へと成長を遂げていました。
 だけど。

 最後の最後の大事な手紙朗読で、飯窪さん、ビックリするくらい、めちゃくちゃ噛んでしまっていました。
 最近はいつもしっかりやりきる仕事ぶりが目に焼き付いていた飯窪さん、しかしその思いがけない姿に、プロデューサーのつんく♂氏がかつて、加入まもない時期の彼女を指していつも言っていた「飯窪は萌え」の言葉をふと思い出し、あぁこういうことだったんだなと、すごく心にじんと来るものがありました。


ameblo.jp


 自我が目覚め、新たな夢を追いかけ、たくさんの挑戦に立ち向かおうとする大人の女性。
 だけど女性の人生はいつも、「女の子」だった自分の大切な思い出と地続きです。

 かっこよくなっても、綺麗になっても、疲れたときは、いつでも青春の大切な思い出に、帰ってきてください。

 飯窪春菜さん、ご卒業おめでとうございます!


***



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*1:https://www.youtube.com/watch?v=0JzR89gMSK0

*2:https://www.youtube.com/watch?v=MhH_ucrPMZc

*3:https://www.youtube.com/watch?v=S0g7SQbyjko

*4:モーニング娘。が結成20周年イヤーを迎えた2017年頃から、グループの未来を考える機会が増えたのと同時に、自分の未来についても考えるようになったと本人はコメントしている