小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「都会と地方のあまちゃん」

まず最初に私のことを話します。

私は北海道の地方都市で生まれ、その後5歳の時に、親の転勤で横浜へ引っ越しました。
それからは幼稚園・小学校・中学校と横浜で育ちましたが、高校進学の際、親の転勤で再度北海道へ引越し。

以降高校・大学は北海道で過ごし、就職でまた一度横浜へ出ましたが、現在は両親が住む実家や、結婚した夫の出身地でもある北海道に住んでおり、たぶん今後は、こちらに骨を埋めるのかなーと思っています。

で、なんでこんな書き出しから始めたかというと、そんな経歴を持ってあまちゃんを見ていて、色々感じる事があったからです。

<2人の”あまちゃん”>

「おら、東京さ行くだ!」(6/22放送)にて、印象的な1シーンがありました。
アキは皆に送り出されて、地元の東京へ。
ユイは家族の病気により、自分がずっと夢見ていた東京への列車を、目の前で見送る。



このシーンを見て確信したのは、あまちゃんの根底にあるものは”2人のあまちゃん”なんだ、という事。
都会の少女と、地方の少女。

先に、ドラマの例も用いて、そもそも都会の子、地方の子とはどういう違いがあるのかを書きます。

<地方の子・ユイちゃん>

ユイちゃんに代表される、いわゆる『地方の子』。
この子たちは、一言でいうととても色彩が豊かです。

ある程度不変の環境で育ち、変わらない景色、変わらない友達…

イメージだけで見ると、不変というのは穏やかな風景かもしれませんが、多感な若者にとっては刻むものもより深く、より濃くなる場所です。

<都会の子・アキちゃん>

アキちゃんは東京で生まれ育った、まさに『都会の子』。

これは、私は高校で地方都市に引っ越してきたときに初めて知ったのですが、都会の子は、想像以上に淡い世界に守られて生きているんだな、と。

パッと見、都会は激変、という文字が思い浮かびます。
めまぐるしく変わる風景に、早期から受験などで分かれる進路、毎学期やってくる転校生…

しかし逆にいえば、都会では、周囲が勝手に形をめまぐるしく変えていきます。
つまり自分でわざわざ刻む必要もない。
薄くても浅くても、周りが色濃いので、都会の子は特に疑問も持たず充分に生きていけるわけです。
しかも何か興味を持ったことがあれば、達する苦労はそこまでせずに、すぐ触れる事ができる。

そんな2人の人生が、アキがユイの地元・岩手にやってくる事で一旦重なるのが、このドラマの前半の物語です。


豊かすぎる環境で、ただ生きてきた都会の子、アキ。
しかし、限られた土地で人生を色濃く、深く刻んでいる人たちに出会い、自らも海女という、とても濃い経験を人生に刻む。
その視野を持って、アキはもう一度帰っていきます。
地元である東京に。

一方、何もない所で、強くアンテナを張って生きてきた地方の子、ユイ。
彼女は自らを濃く、深く探していく中で「ご当地アイドル」という存在に出会い、狭い地元からそれでも少しずつ世界を広げていって、東京まであと一歩、まで近づく。
しかし彼女の歩みは、予期せぬ事情で止まります。
家族が残る地方に。


「地方に来て海女に憧れた少女が、今度はアイドルに憧れ、都会に戻る」


このあらすじだけ見ると、なんだか荒唐無稽なストーリーだと思います。
東京編を目前にして「海女の成長ストーリーだと思ってたのに、ひでぇドラマ」みたいな感想もネットだと結構見かけます。

私も最初は「海女」とか「じぇじぇ」とか、あとクドカンならではの小ネタとかが面白くて、そういう感じで見てました。
アキがいきなりアイドルになりたい!とか言い出して、実際に強引に方向転換してったここ数週は、正直ちょっとなんじゃこりゃとも思った。

しかし春子が送り出し、アキは旅立ち、ユイは残ったあのシーンを見て、なんかすごく思ったんです。
あぁこれは、”2人のあまちゃん”の物語なんだと。

アキとユイ、アキと少女時代の春子、そして岩手のアキと、東京のアキ。
『都会で生きる少女と、地方で生きる少女』


* * *


今回特に書きたかったのはとりあえずこのあたりまでなんですが、あとついでに、東京編に漂う”荒唐無稽感”の原因の1つに間違いなく「アイドル」だの「GMT47」だのがあると思うんですけど

このブログ、メインはアイドルなんで、その辺もついでに書いちゃおうかなと思います。

<補足・なぜ2010年代の少女たちはアイドルを目指すのか>


以前、こういう記事を書いた事があります。
「震災と少女たち」
「あの日見たアイドルの意味を僕たちはまだ知らない」

もともとAKB48の握手会ブレイクによって、以前からアイドルは相当身近な存在になってきてたんですけど、
2011年の東日本大震災を機に、特に普通の少女たちの中では、アイドルの定義がかなり変わってきてるんですよね。
それはアイドルは夢であるとともに、力でもある、ということ。

現時点でのあまちゃんは、2009年の夏なんでもちろん震災以前なんですけど、震災後の2013年の現実ではスターとしての憧れ以外に幼い自分でも笑顔や勇気という「力を届けられる存在」、そういった視点で憧れて、ステージに立っている少女もかなり増えてきているんです。

…そういうのも見ていると、アキが、しかも岩手にルーツを持ってアイドルの世界に飛び込んでいくのは

現代日本を舞台とした少女の成長ストーリーとしたら、実はすごくしっかりした柱に添って書かれてるような気もするのですが、どうでしょうか。

という感じで、じぇじぇ。


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