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ドゥーワップが導いたコーラスグループのダンス革命

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新たなコーラススタイル・ドゥーワップの登場と流行

ドゥーワップの名前はそのまま、ジャンルの特徴でもある有名なスキャット(楽曲展開に合わせたリズミカルな即興音声)を引用したもので、リードボーカル+幅広い役割を担うバックコーラスが基本構成である。

そのルーツは、まさにミルス・ブラザーズとインク・スポッツの歌声にあった。
この2グループもスリー・エックス・シスターズやボズウェル・シスターズと同じくバーバーショップ・ハーモニーの影響が濃厚な戦前の出身だが、彼らはバーバーショップ・ハーモニーのホモフォニー的進行やクローズ・ハーモニーを土台にジャズ音楽のエッセンス、ジャズ特有の歌唱法だったスキャットや声による楽器音の再現も加えることで、コーラスグループの新たな楽しみ方を大衆に届けていた。


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そして1945年に第二次世界大戦が終結すると、コーラスは楽器が無くても今すぐ始められる音楽活動として、都市部の若者コミュニティを発信源に人気が広がり始める。
戦後世代の彼らの好奇心はまさにミルス・ブラザーズやインク・スポッツの技術を手本としつつ、(ハーモニーが1オクターブの中に収まらない)オープン・ハーモニーにも挑戦するなど、自然とコーラスワークの進化に寄与していった。
すると1950年代になる頃には、こうした試行錯誤の末に独自の発展を遂げた「ドゥーワップ」が、新たな音楽文化として注目を浴び始めるのだ。

The Chords『Sh-Boom』
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The Moonglows『Sincerely』
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また戦後アメリカの新しいハーモニーの波は男性コーラスグループだけでなく、女性コーラスグループの元にもしっかり届いていた。
スリー・エックス・シスターズ、ボズウェル・シスターズ、そしてアンドリュース・シスターズの“古き良き”歌唱スタイルを受け継いだ女性コーラスグループのザ・コーデッツが、『Mr. Sandman』で自身初のレコード売上週間1位を獲得した1954年。
実はその同じ年、後発デビューのマクガイア・シスターズは男性コーラスグループのザ・スパニエルズがヒットさせていたドゥーワップ曲『Goodnight, Sweetheart, Goodnight』をカバーしたことで、自身初のレコード売上週間トップ10入りを果たしている。

そしてマクガイア・シスターズは翌1955年にも、再びドゥーワップカバーの『Sincerely』(原曲:ザ・ムーングロウズ)をレコードリリース。
するとこの試みは大成功し、彼女たちは自身初のレコード売上週間1位を獲得、ついに先輩グループの“古き良き”ザ・コーデッツとチャート成績で肩を並べる結果になったのである。

The Chordettes『Mr. Sandman』
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McGuire Sisters『Sincerely』
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こうした経緯もあり、特に1950年代後半にはアメリカの女性コーラスグループの主流もまた、密接かつ横一列の”古き良き”スタイルからドゥーワップブームを反映したリードボーカル+幅広い役割を担うバックコーラススタイルへ、明確なシフトチェンジを見せることになった。

コーラスグループとコレオグラフィーの奇跡的な出会い

またドゥーワップはリードボーカル+幅広い役割を担うバックコーラスとともにもうひとつ、後世の私たちが注目すべき足跡を残している。「コレオグラフィー」(振付)の導入である。

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