小娘のつれづれ

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芸能ビジネスの出発点

※記事一覧:「アイドルの源流を探る」目次

芸能ビジネスの出発点

まず最初にこの世界へ登場するのは「音源」のルーツだ。
ちょうど各国で近代義務教育制度が整い始めた1877年、アメリカではトーマス・エジソンの発明により、録音と再生が可能な筒式蓄音機が登場。
その後、改良が重ねられる中で1887年に円盤式蓄音機が登場すると、形状的に複製が容易なこともあり、1890~1900年代には円盤型の音声記録メディア「レコード」を取り扱う会社が各国で次々と誕生していった。

そしてレコードの普及から若者の概念の本格浮上、第一次世界大戦の勃発と終戦までを含んだ1910年代の経過を待って、いよいよ次に「メディア」が登場する。
1920年にアメリカで世界初の商業放送局・KDKAが誕生したのを皮切りに、1922年にはイギリスのBBC、そして1925年には日本のNHKと、「ラジオ」の本放送が世界各国でスタート。
ラジオは1920年代の未曽有の経済発展(アメリカ)や災害復興(日本)といった歴史的出来事とリンクしながら、徐々に大衆の日常へ入り込んでいく。

またここで、レコードやラジオの普及にも大きく関わっているのが「マイク」の存在だ。
マイク自体はもともと、19世紀の時点で電話機の一装置としてのカーボンマイク(炭素マイク)が誕生していたのだが、その後真空管の発明などを経て、音質が格段に良いマイクロフォンの開発が実現。
そして1925年頃からはいよいよ、このマイクロフォンがレコード録音やラジオ放送、さらには歌手の公演会場といった”現場”でも使用されるようになっていくのである。

レコード・ラジオ・マイクの登場による戦前世界の”発見”① 「複数名で構成されたボーカルグループの訴求力」

ちなみにレコード・ラジオ・マイクが出揃ったこの1920~1930年代、実は現代芸能ビジネスと同じ構造=「音源」「メディア」「現場」のトライアングルが生み出すトレンドが、もうすでにいくつか登場している。
その中でもアイドルの源流という観点において、まず注目したいのは「コーラスグループ」の人気沸騰だ。

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