小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけ続け、執筆業になりました。著書『SMAPと、とあるファンの物語 -あの頃の未来に私たちは立ってはいないけど-』(双葉社)好評発売中 / 月刊エンタメ(徳間書店)にて『モーニング娘。年代記』連載中

「稲場愛香には東京でしか見れない夢がある」

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 ハロー!プロジェクトにおいて、また大きな動きがありました。2017年秋からソロ活動を行っていた稲場愛香さんが、アイドルグループ・Juice=Juiceに加入することが発表されたのです。


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【ハロ!ステ#274】稲場愛香今後の活動について、モー娘。20周年企画、モー娘。12期定点観測、ハロプロ研修生LIVE、新グループ加入メンバー発表、ランチ MC:尾形春水 - YouTube
(発表時のドキュメント映像)


 これがなぜハロプロファンをざわつかせたかというと、1つは稲場さんのソロ活動までの経緯。彼女はすでに2015年に一度、カントリー・ガールズというアイドルグループの一員としてメジャーデビューを果たしています。
 しかし故郷の北海道から上京した彼女は同時に持病の喘息にも悩まされるようになり、2016年4月に一度芸能活動を休止。
 その後もなかなか症状の改善には至らず、「グループの活動にもこれ以上迷惑をかけられない」という本人の意思と家族や医師を交えた話し合いの結果、稲場さんは2016年8月をもってカントリー・ガールズから卒業という形になりました。
 
 そして次に表舞台に出てきたのは活動休止から1年半後の2017年9月。
 地元北海道で改めて治療に専念し、芸能活動に支障がないレベルまでの回復に至った彼女は、そのままソロタレントとして北海道で復帰します。

 以降の彼女は北海道のローカルテレビやラジオ、また後輩たち(ハロプロ研修生北海道)の教育に力を注ぎ、精力的に活動していました。


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知っとく北海道&おひな❁︎♡ | 稲場愛香オフィシャルブログ「まなかんめもりーず」Powered by Ameba


 実際北海道ではこの1年、ローカル番組でアシスタントとして出演したり、札幌のイベントのステージに立ったりという稲場さんの姿が頻繁に見られました。
 
 その際の彼女というのはいつも懸命で、笑顔で、ひとつひとつの仕事をとても大事に行っているのがすごく伝わってくる姿だったのですが、同じ北海道に住む自分には、いつからかそこに重ねて気になり始めていたことがありました。
 「彼女はこの先に、どんな夢を描いているんだろう」
 
 稲場さんはもともと幼い頃から、ずっとダンスや歌のステージに憧れながら、この北海道で生活していました。
 4歳からダンススクールに通い、デビューオーディションを受け続け、ハロプロ入りの前にも一度北海道のローカルアイドルグループのメンバーになっています。しかしそのグループはたった1年、わずか1枚のシングルだけで解散の憂き目にあいました。
 
 そしてハロプロ研修生のオーディションに合格したのが2013年。
 それからはデビューの確約がないまま、故郷の北海道と東京を行き来しつつバックダンサーとして必死にステージに立つ日々。
 それでも彼女が頑張れたのはおそらく、その「東京」にこそずっと追い求めていた自分の夢の形が存在したからです。
 
 人は生まれる場所は選べませんが、どんなに遠くても、どんなに理不尽でも、芸能の夢を見た人が才能の花を本気で咲かせられるチャンスは、これからもきっと東京という限られた場所にしか存在しません。
 それをわかっていたから彼女は諦めず、北海道からデビューを勝ち取り、一度チャンスを掴みました。
 しかし待っていたのは体調問題という10代の子には想像もできなかった「壁」と「東京での挫折」。
 
 きっと療養中も復帰後も、芸能の才能に恵まれた彼女の中では、夢と現実の狭間の逡巡というのは、私たちの想像以上にあり続けたのではないかと思います。
 だからこそ彼女は一生懸命に北海道で活動していたし、実際に、このままローカルタレントとして北海道で生きていくという選択肢も内心には少なからずあったはず。
 
 でも彼女はグループでの再デビューという所属事務所の打診に、もう一度夢を追うこと、「大きな挫折の先でもう一度東京に行くこと」を決めた。
 
 まだ20歳の若さでのこの決断は、本当に本当に、勇気がいることだったと思います。
 
 
 もちろん、その復帰先が(昨年から活動方針の変更により活動ペースが緩くなり、体調問題も考慮しやすかったであろう)カントリー・ガールズではなかったこと、また全国ツアーのあるグループへの加入で再度体調管理が心配されることなど、いろいろ思うことは、ファンの方ほどあると思います。
 
 ただ同じ北海道に住んでいる者として、これだけは知ってほしいのは、「若い彼女にはこの遠い北海道じゃ叶えられない夢が、やっぱりまだあったんです」。
 
 東京でしか叶えられない夢を地方の子が見続けるのは、本当に大変で、辛く苦しいこともあります。
 だからこそ若い彼女の選んだ道を、どうか暖かい光で照らしてあげてほしい。

 それが一番できるのは事務所でも業界人でもなく、絶対に、ファンなんです。

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