2014年6月7日放送のラジオ「ヤングタウン土曜日」にて放送された明石家さんまさんの努力に関する発言が、大きく注目を集めました。
”努力は報われる”と思う人はダメですね。
努力を努力だと思ってる人は大体間違い、ですからね。
努力は報われるなんて、絶対思っちゃいけないね。
奇しくもこの放送の当日に行われたAKB48総選挙では、総監督・高橋みなみさんが7万人の前で「努力は必ず報われる」とスピーチしており、さんまさんの言葉をきっかけに、様々なところで「努力とは何か」という議論が活発になされています。
この「努力」という言葉は、まさに人の数だけその意味や答えが存在し、だからこそあれだけ話が盛り上がっていると思うのですが、
こちらでもせっかくなので、自分が見聞きした有名人の言葉にスポットライトを当て、さんまさんの言葉から浮かび上がった、人間の『報われる努力』『報われない努力』とは一体何なのか、ちょっと考えてみたいと思います。
報われない努力
まず、人間の「報われない努力」とは何か。
これについては前述のラジオで、明石家さんまさんがもう少しつっこんだ内容に触れているので引用します。
努力を認めて欲しい人は、失敗しますね。
”こんなに頑張ったのに”とかね、頑張ってどうにかなるもんじゃないからね。
<努力を認めて欲しい人は、失敗する。なぜなら、頑張ってどうにかなるものではない>
その考えの元に、さんまさんは「努力は報われるなんて、絶対思っちゃいけない」とはっきり断言します。
<努力を認めて欲しい人の失敗>。
これについてはちょうど2年前にも、講談社のモーニング編集長・島田英二郎さんがtwitterで触れていました。
およそ「あきらめなければ夢は必ずかなう」ほど悪質な言説はないと思う。こういうコトバが幅をきかすと夢を途中であきらめる若者は「夢がかなわなかったのは私が途中であきらめたからだ」という自責の念をしょいこまなければならなくなる。
— 島田英二郎 (@asashima1) 2012年3月1日
執念は大事だが、夢がかなうか否かはやはり才能の問題。すごい才能がいるわけじゃなくて、ほんのちょっと才能があればあとは確かに「あきらめないこと」とかそのあたりが大事になってくるんだろうけど、その「ほんのちょっとの才能」の有無は決定的な差です。
— 島田英二郎 (@asashima1) 2012年3月1日
夢をかなえるのに必要なのは「向いてない夢はとっととあきらめるいさぎよさ」です。ある程度はあきらめていかないと、かなう夢にも出会えない。
— 島田英二郎 (@asashima1) 2012年3月1日
さんまさんとモーニング編集長の島田さん、この2人の言葉に共通しているのは、人間には「頑張ってどうにかなるもんじゃない現実」が存在している、という考え方です。
努力ではどうにもならない現実がある。
それを無視する事は、さんまさんの言葉を借りれば「努力を認めて欲しい」だけであり、島田編集長の言葉を借りれば「かなう夢にも出会えない」。
だから2人は、無責任な「努力」や「夢」を否定します。
<認めて欲しいだけ、見返りが欲しいだけの行動>
これが、いわゆる「報われない努力」なのではないでしょうか。
報われる努力
では反対に、「報われる努力」があるとすれば、それは一体どんなものなのでしょうか。
さんまさんとモーニング編集長の島田さんは、上記の発言の前後でそれぞれこういった事も話しています。
”好きだからやってるだけ”で終わっといた方がえぇね。
夢をかなえるのに大切なのは「自分がどんなことに向いてるか」、少なくとも「どんなことには向いてない(才能がない)か」を悟るカンです。どんなに好きでも向いてないことは向いてない。
— 島田英二郎 (@asashima1) 2012年3月1日
つまり「向いてる、向いてない」は自分で決めなさいってこと。人の意見も参考にはするべきだけど、やっぱ「そんで私自身はどう思ってるの?」ってことで最後は決めるべきです。……それがむつかしいんだろうけどね。(続く)
— 島田英二郎 (@asashima1) 2012年3月4日
「好きだからやっている」こと、もしくは「自分の向き不向きを把握した上で決めている」こと。
ここでも2人の考えは共通している所があって、それは見返りや成功の前に「自らの意志」を最も尊重している点です。
好きなことや向いていること、そして向いていないことは、それぞれ人の数だけあります。
そこで大切なのは、非現実的な見返りではなく、自分がどういう人間で、何をしたいか。
その上に初めて、「報われる」という言葉は成立するのかもしれません。
そしてさんまさんは、こうも話しました。
見返りなしで出来る人が、一番素敵な人やね。
この「報われない努力」と「報われる努力」の違い、実はさんまさんや島田編集長のように有名じゃなくても年齢を重ねた人なら大体なんとなくわかっているんじゃないか、というのは私の持論です。
たぶん、そうですよね。
だいたい30代に差し掛かるから、自分の好きなことや向いてること、向いていないことっていうのが、人間だんだんと見えてくるのではないでしょうか。
実はアイドルと呼ばれている人も、時にそのような考えを口にすることがあります。
SMAPのブレイク以降、仕事のジャンルが無限に広がったアイドルたちは、向き不向き関係なく色んな経験に身を投じるようになりました。
現代の彼らは10~20代に集中している様々な経験を通じて、より明確に、「自分だけの努力の行き先」を見つけだしています。
「なかなかうまくいかない日があったり、わたしもモーニング娘。で活動してきたこの12年間でほんとに常に伸び悩んでいました(笑)
正直、努力しても報われない、、と思った事もありました。
でも、報われなくても、それが自分自身の糧になって、成長出来たんだ、、
と、12年たった今なら思えます。」(「ラストシングル」 / 道重さゆみ)
「20代でいろいろやらせてもらって、やっぱり自分はMCをやりたいなと強く明確に思った。
次の10年はそれを磨いていく10年だと思ったので、そういう仕事をたくさん、できる限りしたいという話をしたのは覚えています。」
「だから僕にとって30代に入った時期が分岐点。」(ザテレビジョン 2013 No,36 / 中居正広)
ここまでの話も踏まえて、私はもし人がすべき努力があるとすれば、まず「臆せず自分を知ろうとする事」なのだと思います。
若いうちから成功している人は、きっと運よく早い段階で報われる努力に気づけただけで、まずは焦らず、成功よりも自分がどういう人間かを知ろうとすることに、時間や体力を割いていく。
そこで自分自身を見つけて初めて、『報われる努力』が成り立ち始めるのではないでしょうか。
というわけで長々と記事を書いてきましたが、最後にもう1人、ある有名人の言葉を紹介して、この記事は終わりにしようと思います。
2014年2月10日、フジテレビのある番組で東進ハイスクールの林修先生から「仕事は好きなことをやる方ですか?」と聞かれた時の
返答です。
「今はそうかもしれないけど、若いときは選んでられない。いろんな仕事を一応全部やってみてきた。」
「”やりたいことが見つからない”とかいうけど、当たり前だよ。やってみて分かるものだし、若いうちはムダなんてない」(笑っていいとも / タモリ)
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