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1958年、アメリカのロックンロールとは違う方向に進み始めたロカビリーブームとその事情
前述の通り、日本のロカビリーブームは1958年2月の第一回「日劇ウエスタン・カーニバル」開催を皮切りに始まった。同じ時期、アメリカのロックンロールの勢いはまだ健在で、エルヴィス・プレスリーもギリギリ入隊前である。
だが第二章で触れたように、アメリカのロックンロールブームはその後、フルスピードで変容していく。その要因は引退、徴兵、あるいは犯罪行為など、人気歌手自身が歩む”その後”が、若いファン心理との間に大きな溝を生んだからであった。
そして同じ時代に同じ熱源から始まる日本のロカビリーブームもまた、時間の経過とともにだんだんと変容し始めるのだが、ここで注目したいのはその中身だ。
結論から先に述べると、アメリカの若者向け音楽市場では”主役が入れ替わった”のに対し、日本の若者向け音楽市場では”主役が自ら変化していった”のだ。
その変化とはずばり、「ロカビリー歌手自身の優等生化」である。
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