小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「SMAPファン20年目だけど℃-uteにSMAPの要素が漂い始めている件」

「SMAPファン20年目だけど℃-uteにSMAPの要素が漂い始めている件」

11月28日、東京の中野サンプラザで開催された『℃-uteコンサートツアー2015秋 ~℃an't STOP!!~』に行ってきました。
私の住んでいる北海道では近年単独ライブが行われていないので、メモリアル的要素が強かった結成10年の横浜アリーナライブを除くと、普通のツアーステージは2年ぶりの体験になりました。

℃-uteコンサートツアー2015秋 ~℃an't STOP!!~@最終公演セットリスト*1

℃-uteコンサートツアー2015秋 ~℃an't STOP!!~ [Blu-ray]

01.THE FUTURE
02.The Middle Management~女性中間管理職~
03.愛ってもっと斬新
04.会いたい 会いたい 会いたいな
05.Kiss me 愛してる
06.★憧れ My STAR★
07.ENDLESS LOVE~I Love You More~
08.SHOCK!
09.二十歳前の女の子
10.Bye Bye Bye!
11.I miss you
12.涙の色
13.FOREVER LOVE
14.Danceでバコーン!
15.都会っ子 純情 (2012神聖なるVer.)
16.Love take it all
17.まっさらブルージーンズ (2012神聖なるVer.)
18.JUMP (2012神聖なるVer.)
19.Crazy 完全な大人
20.アダムとイブのジレンマ
21.アイアンハート
22.世界一HAPPYな女の子
23.嵐を起こすんだ Exciting Fight!
24.情熱エクスタシー
25.ありがとう~無限のエール~
26.SHINES
27.我武者LIFE

私が前回見たのは2013年秋ツアーの『Queen of J-POP~たどり着いた女戦士~』、当時の℃-uteは長年目標としてきた日本武道館での単独ライブを叶えた直後で、パフォーマンスのレベルはすでにすさまじかった一方、モチベーションの面で目標を叶えた後の自分たちは一体どこへ行くべきなのか、そういった等身大のとまどいも、どこかステージに残っていたように思います。

しかしその日本武道館からさらに2年かけてたどり着いた横浜アリーナの単独ライブでは満員の客席を前に迷うことなく「次はさいたまスーパーアリーナに立ちたい」ときっぱり宣言し、そしてその後も実際に”まだ走り続ける”ということばを全員が体現しているのを見て、今の℃-uteは過去にない新しい何かが生まれ始めているのではないか、そうずっと感じていました。

* * *

ハロー!プロジェクトは元より女性アイドルジャンル全体の中でも、激しく、そしてクオリティの高いパフォーマンスを実現していると言われるアイドルグループ・℃-ute。
さらに今回はライブコンセプトに”Can't STOP(止まらない)”を掲げていたこともあり、オープニングの「THE FUTURE」からいきなり難易度の高いダンサブルなナンバーを一切の休みもなく、連続で披露していきます。

2年前とはまるで違う姿とそこにある決意。
笑顔溢れる印象の強かった横浜アリーナ公演とはまたまったく違う℃-uteのステージに、地方からの参加者である私は1曲目から圧倒されっぱなしだったのですが、中でもすごく印象的だったのが、その激しいパフォーマンスをこなしている前半のある瞬間でした。

この時、「円熟」と「気迫」と「制圧」という言葉は、すべてある5人の記憶を重ね合わせて感じていたんです。
私はSMAPと同じ凄みを背負った人たちを、女性アイドルで初めて目撃しました。

* * *

ハロー!プロジェクトのアイドルを応援するようになるそのさらに3年前、1995年から、私はSMAPのファンでもあります。
初めてライブを見に行ったのは『COOL SPRING 1995』というアリーナツアーの時で、それからかかさずに通い続け、今年でちょうど20年になりました。

似てきているんじゃないかと感じた点は2つあります。
まず1つめは”もはやアイコンタクトも不要になり始めている演者のオーラ”
今回の℃-uteの秋ツアーでは、特に集中力を要するパフォーマンスが続く前半、たびたびそれを感じさせる瞬間がありました。
まったく違う方向を向いていても他のメンバーが今どこにいるのか、次にどんな動きをするのか、見ずとも全て共有できている5人の姿。
それはまさに「気迫」であり、長年の活動を通じて会場全てを「制圧」しはじめている、思わず言葉を失うくらいステージに飲み込まれてしまうような、そんな感覚でした。

数年前までの彼女たちには確かになかった、そんな感覚。
ここで私が本能的に重ねたSMAPのことを思い返すと、SMAPもある時までは油断や隙も含む、ある意味セオリー通りの若手アイドルグループとしてステージを展開していました。

(アイドルファンにとってはそれが気持ちを掴まれるところでもある…という補足も添えつつ)じゃあそのSMAPが”もはやアイコンタクトも不要になり始めている演者のオーラ”に実際いつ変わっていったのかと言うと、私はやはり1998年の『VIVA AMIGOS!』ツアーがその切り替わりポイントではなかったかと思います。
ちょっと具体的に名前をあげながら書きますが、91年のファーストコンサート~96年春までの6人時代はグループが基本的にまだブレイクを感じられていない模索期。
グループ初のドーム公演を行った1996年夏(『超無限大翔』)は直前に森くんの脱退があったばかりで、まだ5人のSMAPをどう成立させるかという方に若かったグループの意識が集中していました。
1997年(『ス』)は前年の青いイナズマに続く「ダイナマイト」や「セロリ」のヒットが続いている時で、完成形というよりもメンバーが勢いを得ている最中、そこには良い意味での若さがまだ少し交じっていたイメージがあります(メンバー最後となった草なぎ剛のドラマ初主演もちょうどこの頃)。
そして1998年『VIVA AMIGOS!』、この開催時にあったのはついに彼らにとって初のミリオンセールスになったシングル「夜空ノムコウ」の大ヒット。同時にこの年はグループにとって初めて、4大ドームでのライブ開催を達成したタイミングでもありました。

私が実際のSMAPの姿を追い続けて、初めて本格的な王者の風格のようなものを感じたのが、”彼ら自身の中で自負が確信へと変わった”1998年。
結成10年目のアイドルグループ・SMAP、平均年齢23.8歳、最年少は21歳。

後に私がその時のSMAPと同じ印象を抱くことになる℃-uteも目標のステージでついに自負を確信に変えた結成10年目のアイドルグループであり、平均年齢21歳、最年少は19歳でした。*2


そしてもう1つ重ねて見ているところ、それは”個人活動の成果や進化がしっかりグループ活動にもフィードバックされてきている”部分。
目標の日本武道館公演を叶えてから約2年、℃-uteのステージがさらに変わってきているのはやはり個々の活動が充実してきたのが一番大きいと思います。
矢島舞美はグループだけでなくハロー!プロジェクトのリーダーに、中島早貴はテレビ東京「SICKS」での好演で評価を上げ、鈴木愛理は女性ファッション誌「Ray」の専属モデルに、岡井千聖も今やバラエティ番組を中心に活動の場を広げており、元々外部での活動経験が多かった萩原舞も、20歳に達するタイミングを前に今再度ソロ活動が少しずつ増えてきています(レギュラーラジオ他、今月発売の女性誌に個人で掲載予定あり)。

そもそも℃-uteの流れが変わったのはエース・鈴木愛理に同い年でまったく違う歌声と歌唱力を持った岡井千聖が全力でぶつかってきたあたりからですが(象徴的なのが2012年発表の「悲しきヘブン」)、その言わば”2TOP”がさらに今互いのジャンルで大きく飛躍し始めていることで、グループ全体にもいい流れが生まれていて、ここもありし日の若きSMAPと重なる瞬間があります(ドラマ班、バラエティ班と個々の得意分野で分けて外部展開に乗り出したあたりのそれとか)。

あとこの流れでちょっと書き添えておきたいのは、今音楽面でも℃-uteには、SMAPのような面白さがもしかしたら生まれるきっかけがあるかもしれない、ということ。
それを感じたのは12月23日に発売される彼女たちの「℃maj9」のコンセプトを知ったときからで、このアルバムにある個人のフィーチャー曲、これは実際に試聴してみるとアイドル℃-uteが外部作家の感性によってより鮮やかに照らされている、そういう作りになっているんです。

SMAPが90年代から能動的に外部作家/ミュージシャンの提供楽曲を活動に取り入れていることはもはや有名な話かと思います。
実名を挙げるとスガシカオや山崎まさよし、また近年では山口一郎(サカナクション)や川谷絵音(ゲスの極み乙女。/ indigo la End)、tofubeatsなど、テレビスターとしてのグループを見て育った若い世代にも積極的に自分たちを素材として提供し、個性豊かなサウンドを定期的に発信しています。

drifter-2181.hateblo.jp

女性ファッション誌の現役モデルである鈴木愛理の「羨んじゃう」、6歳からアイドルとして活動してきた萩原舞がデジタルEDMで歌う「デジタリック→0 (LOVE)」など、12月23日に℃-uteがリリースする最新アルバム「℃maj9」に収録されている新曲群の面白さはまさにSMAPの音楽作品の面白さと同じで、自ら作品制作を行う形ではないからこそ、外部作家陣の自由なインスピレーションが結果的にアイドルのパブリックイメージとさまざまな化学反応を発生させている。
楽曲を提供する側からいえばこんなに柔軟で挑戦できうる素材もなく、ただ女性アイドルは入れ替わりが激しい傾向もありなかなか成立してこなかったところを、2015年の℃-uteは結成10年の不変の個性×ジャンルトップクラスの高いスキルでついにその壁をぶち破った。

それぞれの個性が外部活動でより突出したものに育ち始めているこのタイミングで、℃-uteの音楽活動にも外部作家の視点を通じてより個性的なメロディ、そしてアイドルグループならではの(SMAPのそれに似たような)「旨み」を含んだハーモニーが反映され始めているということを踏まえると…

私はやっぱり、ひょっとしたら℃-uteひょっとするんじゃないのって、正直今までで一番確信に近いものを思ってます。

* * *

ただ最後にもう1つ書くべきことがあるとしたら、℃-uteのライブ、疾走すべき前半は確かに今までに見たことない気迫や凄みが溢れてるんですけど、王道ナンバーが並ぶ後半はなんら過去と変わらない、ハロー!プロジェクトで育ったアイドルの℃-uteにちゃんと戻ってるんです。
それはオリジナルスマイルがかかった瞬間「どうもありがとーーー!!」と昔からまったく変わらないフレーズで曲を始めるSMAPのように、℃-uteには℃-uteの変わらない場所、変わらないメッセージがあります。


私はこれから始まる女性アイドルの新しい未来の目撃者になるって覚悟決めました。


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*1:オープニングアクト除く

*2:SMAPは1998年のツアー終了時点、℃-uteは2015年のツアー終了時点