小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「アキちゃんとユイちゃんのアイドル観考察(あまちゃん)」

NHKの朝ドラ「あまちゃん」にやたら「モー娘。」の単語がでてくるので、そういや潮騒のメモリーズは、どういう感じでアイドルを見ながら育ったのだろうと考えを巡らせてみました。
(ちなみに執筆時点でまだ放送途中のドラマですので、現段階までのざっくりとした情報での考察になっていることを、あらかじめご了承ください)


連続テレビ小説あまちゃん Part2 (NHKドラマ・ガイド)

アキちゃんとユイちゃんのアイドル観考察(あまちゃん)

大前提:2人は2008年夏で高2=1991~1992年生まれ

<幼稚園>(~1997)

この頃はSPEED全盛期ですが、アキは春子(母)がまだ夢破れてまもなく、また今よりさらに血気盛んな年齢でもあるので(アラサー)、チャラチャラした歌番組はほとんど見る機会がなかったと思われます。

ユイは母親が八木亜希子なため(元アナの設定)、テレビ視聴には抵抗がない環境だったと思われますが、現在のパフォーマンスを見る限り、ダンス特化型アイドルへの憧れは持たずに育ってるぽいので、SPEEDは特に通ってなさそう。

<小学校>(1998~2003)

この頃は思いっきりモー娘。黄金期
そして特に91~95年生まれくらいの女の子は、子供の頃好きだったアイドルを聞かれるとほぼ100%「モーニング娘。」の名を挙げる傾向があり、アキやユイも同じように、最初にアイドルを覚えたのはモーニング娘。でほぼ間違いない。
ただどちらも、ライブにいったりカードを集めたりというほどの思い出は出てこないので、モー娘。に対しては友達と歌うとか、学校で話題にする程度の穏やかな好意・憧れに留まっていたとも思われる。



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※アキちゃんとユイちゃんが小学3年生のときに大ヒットしたのが『恋愛レボリューション21』

ただここで、アキに関しては↑程度でほんとに留まっていたと思われますが、ユイは後に地元でも名の知られるほどの美少女になる=つまり小学生くらいから「自分が可愛い」事を、なんとなく自覚していたはず。
という状況を考えると、ユイはアキと少し違い、自分とそんなに変わらない年齢で活躍するモーニング娘。を見て「可愛いって仕事にできるんだ」的な意識を日々育てていたとも考えられる。
(後につづく)

<中学校>(2004~2006)

アキユイ世代が一番憧れたであろう辻加護も、2004年夏にはモー娘。を卒業。
前後して始まるモー娘。ブームの鎮静化や、また岩手にくるまでの雰囲気も見るに、アキはおそらく中学入学くらいのタイミングで一旦アイドルからは離れている。

しかしユイは、小学生の時に黄金期モー娘。の活躍を通じて「自分の可愛いは仕事にできる」ことに気づいていたため、中学生になっても、そのまま女性アイドルの活動はなんとなくチェックしていたはず。

――色々ごちゃごちゃと浮かんできたので、ちょっとここからは仮説で。

(仮説)

世間的なモー娘。ブームが終息しつつあっても、美少女・ユイにとって「可愛いを仕事にしている」アイドルは気になり続ける存在であり、ユイはなんとなく、各種歌番組をいまだチェックし続けていた。
また、中学生となったユイは反抗期にも突入しており、ユイは田舎でずっと「だっさいポロシャツ着て残念なエプロンつけてシチュー作って」いる母親の姿に、嫌悪感も抱き始めている。

そんな中、ユイは2004年9月4日深夜に放送されたNHKの歌番組「ポップジャム」を見る。
その回の特集は「地域限定アイドル(ロコドル)」。
出演していたのは新潟のNegicco*1など、自分と同じく地方で暮らしているアイドルたちであった。



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※2004年9月4日深夜の「ポップジャム」にて歌われた、Negiccoの『恋するねぎっ娘』


『ユイには衝撃でした。自分と同じように地方に住んでいる女の子が、東京のテレビにでているのです。
 ”地方から、アイドルをやって東京に行く。”それを初めて意識した、ユイ13歳の夏でした。』(夏ばっぱの声で)

<高校入学~アキが岩手にくるまで>(2007春~2008夏)

アキちゃんはアイドルどころか引きこもり気味の東京のJK。

「NHKポップジャム・ロコドル特集」以降のユイは、自分の中でアイドルが現実的な進路のひとつになり、それゆえにいろんな情報をチェックしていたはず。
その中にはロコドルはもちろん、各種メジャーアイドルのオーディション情報もあったと思いますが、おそらく本人の気持ち/また家庭の都合などで、すぐに上京する選択
は難しかったのか、高校はとりあえず地元の学校へ進学。

ただいろいろチェックしているだけに、ユイ自身はすでに「メジャーアイドルとしてデビューするなら、小中学生のうちからオーディションやレッスンを受けていた方が有利」というアイドル業界の特性も、すっかり把握していたはず。
ましてや現時点で芸能事務所や芸能スクールに所属しているわけでもない、地方在住の女子高校生が、一発逆転で東京アイドルの道を掴むとしたら…

※補足:実際の「2007春~2008夏の女性アイドル界」について
ここで実際の「2007春~2008夏の女性アイドル界」がどうだったかを振り返ると、モーニング娘。は藤本美貴が熱愛報道で初夏にグループ脱退、そこから秋には(後にプラチナ期と命名される)新体制へ移行したものの、世間的には沈黙中。
またAKB48は2006年にメジャーデビュー、2007年には”アキバ枠”で紅白初出場も果たしていますが、2008年2月発売の『桜の花びらたち2008』の特典商法が独占禁止法に引っかかったことで、レコード会社の契約が終了。そのため2008年6月の『Baby! Baby! Baby!』が急遽配信限定のリリースになるなど、女性アイドルはローカルどころかメジャーも、ちょうどこの2008夏のタイミングが、一番逆風が厳しかった頃なんです。

だからあまちゃんを見ていて、芸能関係の何かに所属してるならともかく、なぜ岩手の普通の女子高生が、2008年の時点ですでにご当地アイドルの存在を猛プッシュしてたのかなぁとずっと疑問に思っていたんですが、

おそらくユイちゃんの中ではあの2004年のポップジャム視聴が、やはり強く感化された出来事になっていて、
その上で自分の可愛さの自覚、そして東京への憧れも日々募らせながら2008年の岩手の高校生になったときに、いざ自分がアイドルになることを現実化するには「もうご当地アイドルしかない!!」

となったのだと繋げると、2008年設定のあの切り抜きだらけの部屋が納得がいきます。

<アキが岩手にくる~海女ソニックまで>(2008夏~2009夏)

アキは岩手にきて以降、いろいろあってアイドルに関する話をする機会が増えていきました。
その時に、アキが必ず最初に出すのが「モーニング娘。」

これはアキのアイドルの原風景がモーニング娘。であり、またそれ以降は特に意識したアイドルがいないため、彼女がアイドルの話になったときにまず思いつくのが、子供の頃に通ったモーニング娘。なのだと思われます。

ただ春子が過去を話す回(5/14放送)で、人数が多いアイドルグループを聞かれると、アキはモーニング娘。の後に「AKB」と答えている。
この回の設定は2008年で、なおかつまだ海に入れる時期。
実際の久慈市の海女さんが実演をやってるのが7~9月らしいんですが、2008年の9月だとしてもその頃、AKB48の人気が上がりはじめた「大声ダイヤモンド」はまだでてないんですよね(2008年10月発売のため)。

一般層への浸透はまだ少し距離がある時期なので、それでも若いアキはともかく、なんであの調子だった春子まで、認識を共有できているのだろう…

と思ったんですけど、よく考えたらAKBは前年(2007年)にアキバ枠で紅白初出場しているので、おそらく2007年の大晦日、アキと春子は東京でNHK紅白歌合戦を見ていたのでしょう。
そして(春子はビール飲みながら)AKBって人数多いねーとか話していたのだと思います。

そして海女~ソニックの開催年である2009年夏は、AKB48が前年の『大声ダイヤモンド』からじわじわ人気を上げ、この頃にはもう第一回選抜総選挙も行われているんですけど、ただ老若男女が集まる岩手のあの場ではまだAKB48の知名度は厳しい、というわけで新人海女さんの出し物はモーニング娘。メドレーになる。


とりあえずこんな感じで、想像がいきつきました。


<追記>
記事の投稿後に、「そういやperfumeは?」という話がありました。
アキとユイが出会う1年前(2007年の秋)にはもうperfumeがポリリズムでブレイク済なんですが、出会った2008年の時点で嵐のCD発売日をしっかりチェックしているなど、ややミーハーな所もあるユイが、ブレイク後のperfumeを知らないことは絶対にないはず。
しかもperfumeはもともと広島のローカルアイドルで、ましてやユイは80年代アイドルにまで明るいアイドル勉強家!
…なのにご当地アイドルを猛プッシュしているユイから、perfumeという単語はまだ出てきていない。

これは彼女が90年代SPEEDブームを通らず、モーニング娘。で最初にアイドルを知ったという世代事情もかなり大きくて、17歳のユイのアイドル観にはまだおそらく「パフォーマンス特化型アイドル」のカテゴリがなかった。
しかも徹底して名前がでてこない所を考えると、ユイがperfumeを知ったのはポリリズム以降であり、ブレイク後のパフォーマンスしか見ていないユイちゃんの中ではperfumeは「アーティスト」。
少なくとも自身がアイドルでやるとして、お手本にするには難しすぎるので、彼女の中のアイドルという枠からは外れている …とかかな?

↑しかしこの辺は、NHKも関わったリサイクルCMも背中を押しての大ブレイク、さらに今もNHK歌番組レギュラー&紅白常連のperfumeを、あのクドカンが絡めないもんなのかなぁ?とちょっと不思議にも思う。
もしかしたらあの環境で不自然なほどperfumeの単語が出てこないのは、クドカンの中でもperfumeはアイドルと考えていないのか、もしくはあまちゃんの世界ではperfumeはいないのかもしれない(鈴鹿ひろ美パターン)。


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<STORE>

*1:この2004年9月4日の「NHKポップジャム・ロコドル特集」にNegiccoが出演していたことは有名で、後年本人たちも度々言及しています。Negicco、NHK「MUSIC JAPAN」で号泣(BARKS):https://www.barks.jp/news/?id=1000112920