小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「大好きなアイドルグループ℃-uteへ。北海道から、15年分のありがとう」

*1

ハロー!プロジェクト・キッズの合格者15名が発表された2002年、私は北海道の大学生でした。
嫌だなとは思いませんでした、しかしあまりにも年齢が離れすぎて、私はこの子たちを果たして応援できるのだろうかと不安に思いました。
それが始まりです。

℃-uteがインディーズの初シングルを出した2006年春、私は横浜で新社会人になりました。
引っ越しや研修などで慌ただしい日々がやっと少し落ち着いた6月頃、『大きな愛でもてなして』を聴いてとんでもない衝撃を受けました。
当時のハロプロではインディーズだからこそ実現できた実験的なピコピコサウンド*2にこれまた実験的かつ奇跡的な曲構成、そして何より、あの世界観をとにかく心から楽しそうに、生き生きと歌い踊る幼い女の子たち。
身長も年齢もデコボコな8人だったのがなおさら良かったのだと思います。
それから仕事が終わると毎晩、家のPCで℃-uteの映像を見ていました。
初のメジャー作品『キューティー クイーン VOL.1』はずっと通勤電車で聴いていました。
仕事や慣れない一人暮らしが辛かったけど、℃-uteの歌を聴くと、今日も乗り切れた、明日も頑張ろう、そんな風に毎日の幸せを感じられていました。

直前で村上愛ちゃんが抜けてしまったのは本当に残念だったけど、それでもデビューが決まったときは、自分のことのように嬉しく思いました。
初めての歌番組出演、初めての単独コンサート、スポットライトを浴びるごとに少しずつ垢抜けていく℃-uteの成長は、見ていてとても頼もしかったです。
『都会っ子 純情』で日本レコード大賞最優秀新人賞を獲得したとき、紅白に初めて出場したとき、今思い出してもあの時の記憶にはちょっと涙腺が緩みます。
だけどその後くらいから、少しずつ、グループは苦しい時期に差し掛かっていきました。
それは決して明確な理由があるものではなく、しいていえばデビューの特需が落ちつき、続けていくことの難しさに気づくタイミング。
個々のプライベートでもデビュー時の小中学生だった環境から、ちょうど中高生へと移り変わる多感な時期に差しあたっていたので、ファンの想像以上に、メンバーには苦しく感じることも少なからずあったのではないでしょうか。
それでもひとたびステージに上がれば、℃-uteのみんなはいつでもかっこよくて、そして可愛くて楽しい、そんなプロのアイドルであり続けました。

私が仕事を辞めて横浜から北海道に戻り、Zepp Sapporoで℃-uteの単独ライブを見たのは、2009年の春のことです。
「℃-uteコンサートツアー2009春~AB℃~」、その時もう有原栞菜ちゃんは活動を休止していて、久しぶりに見た℃-uteは6人になっていました。
そしてツアー終了後にそのまま彼女の脱退が発表され、1ヶ月後にはキッズ時代から℃-uteメンバーを支え続けた年長の梅田えりかちゃんも卒業を発表。
夏秋ツアーの「℃-uteコンサートツアー2009夏秋~キューティーJUMP!~」は、ついに6人で最後のライブステージになりました。
その時も北海道公演の会場はZepp Sapporo、今でも覚えています。
春ツアーでは元気に次の北海道公演の告知をしていたメンバーが、夏秋ツアーではついに次の北海道公演のお知らせができなくなってしまった、そのシーン。
「次はまだ北海道でのコンサートは決まっていないんですが、また来られるように頑張ります」
最後にその言葉をこの街に残して、8人から始まったアイドルグループ℃-uteは、ついに5人になりました。

5人になった初めの頃、地方のファンが会えなくなっていったその頃も、インターネットを通じて℃-uteの苦しみはずっとずっと続いていることを感じていました。
メンバーカラーの変更や活動に関してのメンバー間の行き違い、この辺になるともう、映像でも隠せてないほどメンバーの感情の動きは表に出てしまっていました。
14~18歳の5人で迎える芸歴8年目の女性アイドルグループ、ファンとして振り返ると、彼女たちが言う一番の「危機」は、このあたりの実感を指し示しているように思います。
それでもファンはメンバー自身がその困難を乗り越える瞬間を、ずっと信じ、それぞれの場所で待っていました。
そして「℃-uteコンサートツアー2010夏秋~ダンススペシャル!!『超占イト!!』~」の頃から、やっと少しずつの前進を持って、願い続けた彼女たちのブレイクスルーは現実になっていきます。

「℃-uteコンサートツアー2011春~超!超ワンダフルツアー~」や「℃-uteコンサートツアー2012春夏~美しくってごめんね~」、気づけば身長差もなくなり、グループ全員が同じ方向を見てステージに立つ、そんな素敵なアイドルグループへと彼女たちは確実に変わっていきました。
地元で見ることが叶わなくなったので、このあたりからはよく飛行機に乗ってコンサートを見に行っています。
遠征して見に行った今までの℃-uteライブの中で一番思い出深いのは、やはり結成10周年の横浜アリーナ。
いつもどんな時も、思えば「この子たちをもっと大きなステージに立たせてあげたい」、そんなことばかり心の中で願っていました。
そして決して簡単には行かなかった道のりと長い年月を乗り越えて、あの光景を見たとき、自分のことじゃないのに、なんだか自分の夢まで叶ってしまったような気がしました。
22歳の新社会人の私が狭いワンルームのPCの中に見ていたその夢を、31歳の私はあの日確かに現実の中で観ていました。
未来の私はその同じ年月で、この世界には叶う夢の方が少ないということを身をもって知っている、そんな大人になっています。
それでもあの時見たものは、本当に素敵な、夢よりも素敵な光景でした。

2017年6月での解散を決めた℃-uteがこの北海道で最後に立ったのは、あの8年前と同じ、Zepp Sapporoのステージでした。
メンバーもMCで言っていたのですが、ステージを見ていると、1曲ごとに色んなことを思い出します。
私にとって℃-uteの歌声は、大人になっていく自分自身の15年間でもありました。
嬉しいこと、楽しいこと、思うようにいかず苦しかったこと、前を向けずに辛かったこと。
晴れの日も、そして雨の日だって、いつも℃-uteが諦めずに歌い続けてくれたから、私も足を止めずに、思い出を希望に変えてここまで歩いてこられたのだと思います。
鈴木愛理ちゃんが幸せそうな表情で℃-uteのステージに立っていると本当に幸せを感じます。
岡井千聖ちゃんが責任を胸にセンターで堂々歌い上げるのを見ていると本当にシビれます。
中島早貴ちゃんの迷いのないダンスパフォーマンスを見ると本当にグッときます。
矢島舞美ちゃんがずっとずっと変わらぬ笑顔でファンを見てくれること、本当に安心します。
そして萩原舞ちゃん。


舞ちゃんは、きっと覚えていないと思います。
東京体育館での「Cutie Circuit 2007 ~MAGICAL CUTIE 感謝祭~」や℃-uteが日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞する直前の「℃-ute Cutie Circuit 2007 ~都会っ子 純情~」、メンバー全員がまだ小中学生で、会場に女性ファンはほとんどいなかったあの頃のイベント。
まだ女性が女性アイドルを現場で応援することにものすごく勇気が必要で、メンバー自身も女性ファンの存在にまだ慣れていなくて、お姉さんメンバーにすら驚いた表情をされることがあったあの時、中でもまだ小学生だった舞ちゃんは、ずーっと女性ファンが来たときの反応に戸惑っていました。
しかも私は同年代でもない、微妙な年の差のすでに大人の女性ファン。
当時の握手会で一度、舞ちゃんから明らかに顔を見てもらえずに、そのまま握手が終わったことがあります(笑)。
文章だと伝わりにくいので詳細はハブきますが、明らかに戸惑って、私の番で視線が飛びました。
不愉快だとかそういうことは全然なくて、それよりも、年齢考えれば当たり前ですが、こんなに小さい子が仕事をしているんだという、そういうインパクトがあまりにも強くて、ずっとずっと今まで忘れられずにいました。
それから10年後のラストツアー、私は33歳、そしてステージの舞ちゃんも21歳のお姉さんに。
ファンクラブの抽選で当たった最後の北海道公演、私はステージがよく見える席で、後半の舞ちゃんをずっと見ていました。
ライブが終盤になるにつれて、だんだんと泣き顔になっていく舞ちゃん。
芸能活動は続けないかもしれない、そんな噂をライブの前に目にしていたので、そういう思いも重なって客席の私もだんだん涙が止まらなくなってしまっていたのですが、最後の方のMCでそんな舞ちゃんが話してるときだったと思います、涙が止まらなくなってしまった舞ちゃんと目が合いました。
目が合ったのはたぶん数秒でしたが、たまらなくなって、私の方が思わず下を向きました。

ハロプロのファンになって沢山ライブを観てきましたが、あの瞬間が、今までで一番胸に迫るものがありました。
ヤバかったです。
個別にも行ったことないしライブだって満足に見に行けてない、だけどたとえいつも目の前にいられなくても、アイドルはそうして、ファンに忘れられない大事な思い出をくれるものです。
一番切なくて、寂しくて、別れがたくて、だけど最後の最後に、ファンの私の時間は意味を成して、全ての悔いがなくなりました。
私にとっては、とても大切な一瞬でした。
℃-uteを好きでいつづけてよかったし、最後まで応援できて本当によかった。


ラストのさいたまスーパーアリーナも行きますが、たぶんそこまでいくともう冷静に文章書けそうにないので、このタイミングで、思いを残します。
アイドルを卒業する女の子にはああしてほしい、こうしてほしいという具体的な望みはありません。
思うまま自由に人生を歩んでほしいです。
でもできるならば、どんな道でも幸せに。
ただただ、幸せでいてください。
私もアイドルが好きで幸せだったと自信を持って言えるように、これからも自分の日々を生きていきます。




アイドルになってくれて、℃-uteになってくれて、本当にありがとう。


<STORE>

℃OMPLETE SINGLE COLLECTION(通常盤)

℃OMPLETE SINGLE COLLECTION(通常盤)

  • アーティスト:℃-ute
  • UP FRONT WORKS Z = MUSIC =
Amazon

*1:℃-ute「℃OMPLETE SINGLE COLLECTION」:http://www.helloproject.com/c-ute/release/detail/EPCE-7325/

*2:ちょうどPerfumeの『コンピューターシティ』や『エレクトロ・ワールド』がネットで注目を集め出したのと同タイミングでした