小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「なぜ今もSMAPファンは『世界に一つだけの花』のCDを買い続けるのか」

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SMAP×SMAPの緊急生放送から、数日が経ちました。
あれ以来、報道は止まるどころかさらに多くの意見、噂、疑念を巻き込んで日本中、世界中に拡散され続けています。

現時点でSMAPメンバーから公式に発信されているのは、1月18日放送の「SMAP×SMAP」、そして1月15日放送の「木村拓哉のWhat's up SMAP!」におけるコメント、この2つのみです。

「本当に皆さんのことを何かとお騒がせしていますが、ちゃんといつか自分の言葉で話せる時がきたら、そのときはこの”What's”で、お話させていただきたいと思っております」

(木村拓哉 / 「木村拓哉のWhat's up SMAP!」 / 2016.1.15)

木村「今日は2016年1月18日です。先週から我々SMAPのことで世間をお騒がせしました。そしてたくさんの方々に、たくさんのご心配とご迷惑をお掛けしました。このままの状態だと、SMAPが空中分解になりかねない状態だと思いましたので、今日は自分たち5人が顔をしっかりそろえて、皆さんに報告することが何よりも大切だと思いましたので、本当に勝手だったんですが、このような時間をいただきました」

稲垣「この度は僕たちのことでお騒がせしてしまったこと、申し訳なく思っております。これからの自分たちの姿を見ていただき、そして、応援していただけるように精一杯頑張っていきますので、これからもよろしくお願いいたします」

香取「本当にたくさんの方々に心配をかけてしまい、そして不安にさせてしまい、本当に申し訳ございませんでした。皆さまと一緒にまた今日からいっぱい笑顔を作っていきたいと思っています、よろしくお願いします」

中居「今回の件で、SMAPがどれだけみなさんに支えていただいているのかということを、改めて強く感じました。本当に申し訳ございませんでした。これからもよろしくお願いいたします」

草なぎ「皆さんの言葉で気づいたこともたくさんありました。本当に感謝しています。今回、ジャニーさんに謝る機会を木村くんが作ってくれて、今僕らはここに立ててます。5人でここに集まれたことを、安心しています」

木村「最後に、これから自分たちは何があっても前を見て、ただ前を見て進みたいと思いますので、皆さん、よろしくお願いいたします」

(「SMAP×SMAP」 / 2016.1.18)

今回の件の正解を問いたいのではありません。ただ今はっきりわかっていることがあります。
謝罪をする、謝罪を受けるというやりとりから遠く離れた外側で、戸惑いや悲しみを強く感じている、ファンという人たちは確かに存在しています。

そもそもなぜSMAPファンはCD購入での意思表示を始めたのか

1月13日にグループ存続危機の第一報があり、メンバーからの公式コメントがすぐに出ないことで状況を察したファンは、グループへ、そして世間へ自分たちの気持ちを伝えるべく、客観的事実(オリコンチャート)として反映されるCD購入を自主的に始めました。
そこにはこういった経緯もありました。
デモや抗議活動のような不穏当な行動は何よりSMAP5人が望んでいないと長年の応援から判断したこと、そして7年前にも、実際にファンの意思表示としてCD購入の方法が選ばれ、そしてメンバー自身が後に言及し感謝をしていたこと。

(2009年4月、メンバーの草なぎ剛が不祥事により活動を自粛。その後不起訴処分となったことを受け所属事務所が「本人の芸能活動につきましては、この処分とファンの皆様のお声を踏まえ、関係各位とご相談させていただいた上で決定する所存」と発表、これを受けファンはハガキなどの要望送付だけでなく前年のシングル「この瞬間、きっと夢じゃない」をオリコン週間チャートへランクインさせることで、社会へ”ファンの声”を届けた)

ファンがCD購入の動きに賛同したのは、7年、そして最大で28年の関係性がそうさせたものです。

「この1か月のあいだに、日本全国のSMAPを応援してくれている人たちが『この瞬間、きっと夢じゃない』っていう曲を、自分たちが過ごしてる時間に当てはめてみんなが聴いてくれた、向き合ってくれたっていう実話を聞いて、これはちょっと前に進むしかないなという、本当に背中を押してもらった気はします」

(木村拓哉 / 「SMAP×SMAP」草なぎ剛復帰 SPECIAL LIVE / 2009.6.1)

なぜ今もSMAPファンはCDを買い続けるのか

今回の件では当事者、そして当事者以外の情報が噴出するにつれ、グループのCDを購入するファンの行動も、次第に論議の的となりました。そしていつしかファン心理そのものの是非が、問われることも増えてきました。

この問いに対する答えは、きっと誰の中でもまだ出ていません。
誰もがうまくまだ言葉にできない状況で、その迷いがなくなる日は、今はいつかもわかりません。

ただその一方で、どうしても伝えたい事実もあります。
他者から見て”たかが”と感じることでも、そこには必ず他の人生を生きる一人一人の選択があり、アイデンティティーがあります。
ファンにとって、その一つはSMAPでした。
そしてファンが見てきた5人の男性にとっては、それまでの人生の全てが、SMAPでした。

「今大切なのは、何よりもSMAP」

(中居正広 / 「ポポロ」1994.4月号 / 1994年)

「前までは、会場のほぼ100%が女の子で埋められていたのが、最近では子どもを連れたお母さんとか、ボクたちと同い年くらいの男の子たちがたくさん見に来てくれるんだよ。そういうコンサートって前から夢だった」

(草なぎ剛 / ワニブックス「SMAP YEAR BOOK 1994 -1995」/ 1995年)

「一番最初にその言葉を聞いたのが、その一言を聞いたのがメンバーだったなって思ったんだけど、いきなりみんなグラス持った瞬間に「お疲れー」じゃなくていきなり「(結婚)おめでとー!」とか言って始まって。」
「あん時はねぇ、マジで…自分がSMAPでいて良かったなぁっていう気持ちにドシーンとなっちゃいましたね」

(木村拓哉 / 「木村拓哉のWhat's up SMAP!」 / 2000年)

「今までやってきた中で、僕らの事を知っていて…いつも明るく元気で笑顔でいるSMAPっていうのを知ってる人たちが、いてくれるんですね。その人たちと、会えたら、辛く苦しい状況の人たちでも、一瞬笑顔になれる。その一瞬の笑顔のために、僕ら20年やってきた」

(香取慎吾 / NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 / 2011年)

「僕らのやることに喜んでくれる人がいて、そういう人がいてくれて、こちらが救われたり」

(稲垣吾郎 / 「週刊ザテレビジョン」2015 No.37 / 2015年)


SMAPは、アイドルは、確かに偶像と呼ばれる一種の幻想なのかもしれません。
しかしファン以上に、その向こうにある生身の人間の「アイドル」という生き方を肯定しつづけてきた人たちもいません。

きっとこれがSMAP自身の行き違いから生じて導き出されていたものなら、大きな騒ぎにはなったとしても、もう少し違う反応になっていたのではないかと思います。
しかしそうではなかった。
週刊誌の報道で大々的に社内の軋轢がクローズアップされ、そこに出ていたSMAP以外の関係者の発言と動向が、SMAPを空中分解になりかねない状況へ追い詰めていった。
そしておそらくはその関係者たちを含めた、あの”公開謝罪”にいたるまでの経緯。
そこに28年かけて歴史に残る偉業を成し遂げた人間たちの意志は、尊厳は、果たしてあったのだろうか。


彼らが大切にし、ずっと守り育ててきたSMAP。
そんな彼らを応援してきたファンがCDに託しているのは、5人の男性が作り上げたものへの敬意と感謝、そして彼らがSMAPとして必死に生きてきた28年間の人生の肯定。

本来大切なはずなのに、”何かの理由”でずっと見落とされている、そのシンプルなメッセージだけなのです。


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