小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「女の子の本能は、それでも近づきたいと叫ぶ。私立恵比寿中学『誘惑したいや』」

☆2013.7発売
☆私立恵比寿中学の1stアルバム「中人」に収録
* * *

そしていよいよ、楽曲大賞投票前の個人的な紹介目標が残り2曲になってきたのですが、これは絶対書かなきゃいかんでしょ。
エビ中の「誘惑したいや」です。



この曲を作った田村歩美さんこと「たむらぱん」さんは、過去にもエビ中に2作、楽曲提供をしているのですが

結果オーライ

1作目「結果オーライ」に出てくる女の子は、まだ全然子供なんですよ。
『あたしの悩みなんて誰かに伝えたって、本当の所は分かるはず無いわ』とつぶやくものの、悩みの内容は毎朝の前髪だったり、体型だったりとすごく日常的な視点のこと。
しかしそれが2作目「大人はわかってくれない」になると、視点が一変するんです。

Go!Go!Here We Go!ロック・リー/大人はわかってくれない


『がんばっている姿とかなんて 見せるのは恥ずかしいじゃない』
『隠れて色々してるのよ 大人は何もわかっちゃくれないけど』


これ、1作目でまだ子供だった女の子に、2作目で自我が芽生えはじめてるんです。
いつの間にか女の子は、スカートの短さやつけまつげに主張をたくし始める。
だけどそれが大人に伝わっていないことも、そして自らもいつか大人になっていく事も、全て知っている。
その上で、女の子はこう叫ぶんです。
『ずっとずっと信じてね ずっとずっと ああ』

そして3作目の「誘惑したいや」では、女の子は新たな悩みを抱きます。
『あなたと出会って 私恋してしまった』

2作目で自我を知った女の子が、3作目で人を愛する気持ちに出会う。
人に抱く愛は、自我の痛み以上に傷つく事に怖くなるし、そもそも願っていても叶わない事だって沢山ある。
でも、女の子の本能は、それでも近づきたいと叫ぶのです。


『誘惑したいや』


最初「中学生」とか「King of 学芸会」というコンセプトを聴いた時はどういう方向でグループが、そして彼女たち自身が成長していくのか、わからない所が多かったんですけど

自我が目覚めて、やがて誰かを愛する気持ちを知る、
そういった人の成熟のはじまりが、思えば誰も皆『中学生』だったのだと。

これは、本当に一本とられました。
私はいつのまにかすっかりわかってるつもりの人間になってしまっていた。

いつの日か置いてきてしまった、色んなことにまっすぐに向き合ってた中学生の頃の自分に、そっと手を差し伸べられてるような気がするから、
私たちはふいに私立恵比寿中学で泣いてしまうんだ。


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