小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「地方から見た音楽ビジネス:気づいてもらうことの重要性」

シングルのミリオンセラーが消滅し始め、CD不況が大々的に叫ばれるようになったのはここ5~6年の話ですが、モーニング娘。のCDが売れなくなったのは、もう10年以上前までさかのぼります。
モーニング娘。を大好きだった自分はこの10年、とにかくずっと「もう一度モーニング娘。がハネるためにはどうしたらいいのか」を考えてきました。
高校生、大学生、社会人、主婦、地方住まい、都会住まい、どこでもずっと変わらず巡らせていたのはその問いです。

そしてモーニング娘。はついに今年、「再ブレーク」の文字まで帰ってきたわけですが、ずっと定点観測をし続けていた感想として、2013年のモーニング娘。がもう一度振り向いてもらえた理由、それは「わかりやすさ」だったのかなと思います。

連続してモーニング娘。のファンをやっている自分の感触としては、世間的に一旦消えた以降も、別にモー娘。のパワーは劣化していなかったんですよね。
例えば「笑顔YESヌード」とか「リゾナントブルー」とか、作品としてすごく良かったもの。
ただ、あの頃のモーニング娘。と今のモーニング娘。に何の違いがあるかといえば、色んな理由の中のひとつで「わかりやすかった」っていうのがあるかもしれない。
足掛け6年とかごろごろいた、ベテラン勢による高レベルパフォーマンスより、全く知らないメンバーがやってるフォーメーションダンスの方が”わかりやすかった”。
この場合の相手というのはコアなファン以外、つまり世間で、黄金期モー娘。以降のAKB、ももクロがブレイクしていく過程も、一番は「世間から見てわかりやすかった」*1

* * *

最近読んだネット記事に、こういう一文があります。

『みんな中学校の教室を思い浮かべてほしいんだけど、たしかに光GENJIやおニャン子の話はみんなしてたよ、芸能だから。でもギター持ってきて練習してたのはたぶん1人か2人でしょ。』

ナタリーがニッチ分野で成長し続ける理由、全部聞きました。(東京編集キュレーターズ))


モーニング娘。という存在にもう一度目を向けてもらう為には、まず絶対的に音楽に気づいてもらわなきゃいけなくて、だからこの10年ずーっと色んな場所でその方法を探してきました。
私は音楽に興味がある部類の人間で、バンドをやって音楽の吸引力も知っていたからなおさら、いい作品さえあればすぐに沢山の人が気づいてくれると思ってた。
でもそこで感じたのは、世の中は圧倒的にアイドルに興味がない。

というかブームを差し引かれたエンタメコンテンツの行く末を見ていると、アイドルの興味以前に、世の中が想像以上に「音楽自体に思い入れがない」。

たしかに嵐やEXILE、AKB48の話はみんなしてるんです、芸能だから。
でもその中で、Mステに出てこない音楽作品をyoutubeで夜な夜な探してくれる層を選り分けると、グッと範囲は狭まってきて、定額聴き放題どころかヘタしたら音楽配信という技術革新すら、思い入れのない世界では現在も完全には機能しきれてはいない。

音楽好きがネットの発展によって24時間浸かっていられるようになっただけで、それ以外の人が同じように音楽の方へ浸かってくれるようになったわけではない、
音楽はそもそもずーっと世の中ではニッチなポジションのままなんじゃないか。

そしてそれは文化の発信地、東京から離れれば離れるほど、なおさらはっきり現実として存在している。

『まず、音楽に興味がある人と、音楽にさほど興味がない人、その二種類の人は必ずいるんです。僕は音楽に興味がある人の部類だし、僕の周りにいる人たちもそういう人ばっかり。でも実のところは、世の中にはどっちかと言えば音楽にさほど興味がない人のほうが多い。』

(音楽に興味のない人達にとってのきっかけになりたいんです / 山口一郎(TheFutureTimes))


じゃあCD不況と呼ばれる現行の音楽業界はどうやって食い扶持を稼いでるのかというと、これはもう色んな所で散々出尽くしてますけど、今はずっと固定客のループ支出を分け合ってる状態。
違法DLの法整備をしてもCD売上が伸びなかったのは、CDを買う人は、違法DLの取り締まり以前から元々音楽にお金を投じてる人だからで、それ以外の層は音楽が流行というアクセサリーにならなくなってきたあたりから音源購入にさほど熱意はなく、知らん所で法整備されようが関係なくCDは買わない。

でも、私が好きなアイドル音楽とかがこの先も継続して作られていくためには、どうにかしてコアの固定客を作って(CDやライブ、物販含めた)コンテンツで収益を確保していかなくてはならないわけで、もし今の固定客でやっていけないというのであればその外側にいる人たちをひっぱってこなきゃいけない、じゃあその外側の人たちがどうやったらこっちに気づいてくれるかというと、「わかりやすい」に帰結するしかない。


いま私が女性アイドルを存続させたくて考えているのは、インバウンドマーケティングじゃないですけど、それでも(握手イベなど)目立つ特典が存在しない場所にも、アイドルになんとなく興味を持ってくれる層っていうのは必ず存在していて、
まずそういう人たちの興味を確実に熱に変換していくための、検索結果をとにかく蓄積していくこと。
そこへ向けた検索結果っていうのは、なるたけわかりやすいのが良い。

あとこれは昨日触れた範囲にもなりますけど、もう少しあえてネット以外で、音楽制作に対する対価をうまく吸い上げてくれるルートがあれば、まだもうちょっとクリエイターに届く利益は上積みできそうな気がして、その辺は正座して動向を見守っている次第。

「非ネット依存層からももう少しクリエイターに幅広く対価を届ける」事が絵空事なのかといえば、私はやっぱり、今の地方ロードサイドの中心においてネット発のボカロがキラーコンテンツと化してきている事、それからこの数年地方のお祭りにおいてテキ屋のおじさんたちがジャニーズ・AKBと並んでせっせと初音ミクさんの海賊版商品を並べている姿を実際沢山見かけておりまして、このへんやっぱ掘ってみたら、もうちょっとはなんか意味あるものがでてくるんじゃないかと思っています。


というわけで特段オチがつかなかったので、今年の各ハロプロで出来のいいシングルおいて終わり。
今年からamazonで全曲mp3売ってます!


<MUSIC STORE>

*1:でもよく見てるとモーニング娘。の『What is LOVE?』とか、一見わかりやすそうなつんく楽曲って実はものすごい難易度高い事やってるんですけどね