小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「モーニング娘。はなぜ『バズった』のか」

祝・モーニング娘。オリコン3作連続1位!

モー娘。初の年間3作目首位 3作連続1位は11年半ぶり (ORICON STYLE)
モーニング娘。 : 11年半ぶり3作連続首位(まんたんウェブ)
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モー娘。3作連続首位に「もっと上目指す」(シネマトゥデイ)


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以前『Helpme!!』が3年8か月ぶりに1位を取った時に「Help me!!はなぜ『バズった』のか」という記事を書いたんですけど、今回はさらにその後もまとめて、
モーニング娘。というグループ自体がなぜ、そしてついに『バズった』のか、1つ1つじっくり考えてみたいと思います。

* * *

①なぜ『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』はハネたのか

まず『Help me!!』までのくだりはこちらを先に読んでいただくとして

『Help me!!』の次にリリースされたのが『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』。
こちらもご存じの通り、2作連続のオリコン1位を獲得しています。

なぜ『Help me!!』の後、『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』はさらに成功できたのか。
『Help me!!』と『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』にどんな違いがあったか考えてみると、一番わかりやすい所で言えば、現モーニング娘。がこのとき明確に変えてきたのは衣装でした。

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50th『One・Two・Three』の衣装はメンバーカラーで構成されており、なおかつ9~10期の幼さに合わせた可愛らしいデザインで、モーニング娘。を初めて/もしくは再び
見た人の印象に残るという点では、まさにうってつけのデザインでした。
しかし51th『ワクテカ Take a chance』は少し独特の、どちらかというと(以前のハロプロらしい)既存ヲタ向けデザインであり、一般人やライト層が言及するには、すこしハードルが高いものでした。

曲の質やダンスでは決して劣らない『ワクテカ Take a chance』が『One・Two・Three』の勢いに対して意外に伸びなかった事もあってか、”ヒョウ柄×ピンク×ミニスカート”という、これまでにない女性受けする衣装で展開されたのが52th『Help me!!』です。

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女性が盛り上がる真っ当なデザイン、という衣装はもちろん男性が公言してもそこまで恥ずかしさはないわけで、そこに現モー娘。の売りである”フォーメーションダンスがスゴい”が重なり、『Help me!!』はネットでかなりの評判を呼んだ末、久々のオリコン1位を獲得。
この『Help me!!』の成功を受け、次に制作されたのが53th『ブレインストーミング』。


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PVやジャケ写で目を惹く赤と青の鮮やかな色合い、そして現モーニング娘。の曲調にピタっとハマる洗練されたデザインは、ファンじゃなかった人が「今のモー娘。いいよね」と話せる、そんな土台をさらに提供。
前作の勢いを落とさずに、衣装でのさらなる訴求にも力をいれた53th『ブレインストーミング/君さえいれば何もいらない』は、11年ぶりのオリコン2作連続1位を獲得しました。

…ここまで真面目に書いて、「いやいや衣装に気合い入れるのなんか当たり前でしょ」とツッコミたくなるのが正しい反応だと思うんですが、こういう衣装1つの細かな配慮が、今のエンタメ界ではすごく特別な意味を持っていたりするんです。

②SNS世代を掴んだ現モーニング娘。

たった衣装1つの事でも。

ここ数年はすっかりSNS全盛時代になり、沢山の人が、ネットで口コミを見聞き、果ては発信もする世の中なんですよね。
既存メディアの影響力が落ち始めたと言われる昨今、SNSの感性はなおさらエンタメジャンルに大きな影響をもたらしていて、ブレイクの線引きの一つが「SNSの発信にも耐えうるクオリティにあるか」という所なんです。

今のSNSユーザーは、発信情報がそのまま自分の評価にも繋がるため、ちょっとでも自分の評価が下がるようなものは発信したがりません。
逆に、自分の評価を高めてくれる(と本人が思える)ものに関しては、ガンガン発信します。

モーニング娘。は16年という歴史と、以前から保っていたパフォーマンスの高いクオリティに、衣装でその土壌を整える事により、SNS世代の発信欲を大いに刺激する事に成功しました。

そしていよいよ再ブレイクをかけての”3作連続1位”を狙い、投入されたのは2013年のファッショントレンド、白黒ストライプのワンピースに身を包んだ54th『わがまま 気のまま 愛のジョーク/愛の軍団』だったのです。



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③意外に残っていた”テレビアイドル”の席

また、現モーニング娘。の再ブレイクには、もう1つの大きな要素もありました。
それは今のモーニング娘。が腰を据えつつあるポジションって、おそらく、本来ならももいろクローバーZが座ると予想されてた席なんですよね。

2012年末の紅白直後あたり、まさにそういう空気がすごかったんだけど、実際年が明けても、春になっても、大方の想像に反してももクロはそこにいかなかった。
結果として、ももクロはライブ路線に行ったんです*1
紅白直後、人気の証であるCM仕事は維持しながらも全国ツアー、西武ドーム、横浜アリーナ、日産スタジアム、各種ロックフェス、またトークイベント、ミニライブシリーズなど、ももクロはとにかく徹底的に、ライブで世間に訴求し続けている。

そうして世間の予想に反し、意外に1席空き続けてしまった「テレビアイドル枠」。
そこにSNSで盛り返したモーニング娘。が、Mステでうまく滑り込んできた。

元々やはり、モーニング娘。はテレビ向きのアイドルで*2、さらに現リーダーは、歴代リーダーの中でも圧倒的に外部仕事に強い道重さゆみ*3
彼女は以前からソロでバラエティなどの経験を積んできたのもあって、相当タレント力が高い。
彼女の高い経験値の例を挙げると、久々のMステ出演も話題になり、いよいよ3作連続1位の記録をかけたシングルの発売というタイミング、彼女は集まった大勢のマスコミの前で、こう発言しています。

『倍返しで巻き返します』

それを受けた翌日の報道は見事に「モー娘。”倍返し”」一色、このタイミングで、自分たちの状況とリアルタイムの人気ドラマを一瞬にして交差させる、これほど見事なテレビ向きリーダーが残った事も、若手メンバーがほとんどを占める現グループにとって、大きな武器となりました*4


…っていう感じで、まぁ色々分析してきたんですけど、
じゃあモー娘。が再度ここまでハネる事を、ファンが予想していたのかっつったら全く予想していなかった。
そりゃいつのモーニング娘。も個人的には変わらず良いグループだったんだけど、正直どんな良曲がきても、名パフォーマンスがあっても、世間には全く響かなくって、一時は解散も覚悟してた時期があった。
というかメンバー自体が、そう思っていた時期も結構あった(のが後年になって語られている)。

そんでもなんとか、グループを終わらせずに15年目までこれて、そしたら50枚目の記念シングルとしてつんくPも気合いを入れた『One two three』がこれまでになくヒットし、そしたらいつの間にか”フォーメーションダンス”なんて看板が出来て、CDが売れて、ファンもかなり増えた。

正直、アイドルが売れるのって完全に運だなと思います。

でもモーニング娘。が他アイドルとちょっと違うところは、この10年ずっと落ち目と呼ばれ、実際全く見向きもしてもらえなかった事、そしてメンバーがもがいているその間に、ファンもそれなりに、一緒にもがきながら経験値を貯めてきたんですよね。

どんな時も見捨てなかった、
それが今の、モーニング娘。ファンです。


<MUSIC STORE>

*1:それはもしかすると黄金期モー娘。ブームの急激な失速に繋がった『明らかな露出過多』=グループの寿命の消耗を避けるためなのかもしれない、とは私個人の仮説

*2:というかこの辺、モーニング娘。は「テレビ時代・最後の国民的女性アイドル」なんですよね。AKBなんかはもうネットが浸透してきてのブレイクだったし

*3:ちなみに道重は2007年から、毎週明石家さんまと一緒にラジオ番組もやっている。2013年の今も変わらず共演中

*4:道重のタレント力の高さは3作連続1位確定を受けてのブログ投稿にも表れており、ニュース原稿のソース元~一般人の検索結果としてまで全方向対応した内容になっている。必見。