小娘のつれづれ

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「さすらうアイドル文化(2012年の終わりに)」

2012年もそろそろ終わりという事で、年の瀬的な更新。



今年特に、アイドルのPVに関して頻繁に見たのが、

「歌番組ではアレだったけど、PV見るといい曲だね」

という感想です。
最近だけでも、AKB48の「UZA」とか、乃木坂46の「制服のマネキン」とか。


最近のアイドルPVはどこも質が良く、アラを隠して綺麗に見せてくれるので
一見いい事のような気がするんですが、
PVのそれはけして「アイドル自身のアプローチではない」んですよね。


こんなところから。


* * *


ちょっと逸れて、ここ数年の戦国時代におけるアイドル勢力図。
youtube上で、現時点の「2012年発表曲・各公式PV最高再生数」を比べてみると

783万回:○ Z女戦争(ももいろクローバーZ)
686万回:● 真夏のSounds good ! /ダイジェスト映像(AKB48)
509万回:● ナギイチ(NMB48)
321万回:☆ One・Two・Three/Dance Shot ver(モーニング娘。)
216万回:● 片想いFinally MV / Short ver.(SKE48)
194万回:☆ cha cha SING(Berryz工房)


と、ハロプロはいい勝負をしてるんですよね。
むしろ実際のCD売上に関しては、モー娘。とももクロあたりだと
ほぼ同時に発売されたシングルの累計売上で、むしろモー娘。の方が売れていたりする。


One・Two・Three(2012.7.4) 110,475
Z女戦争(2012.6.27) 104,180


・・・しかしどんなに素晴らしいPV作品を発表して、CDを売っても
今年、紅白の出場権を獲得したのはAKBとSKE、そしてももクロだけ。
ハロプロは結局5年連続落選という結果。


・・・じゃあAKB&SKEはどんなアプローチをして紅白まで達したかというと、
大部分が「握手や選挙などのエンターテイメント性によるファン心理への働きかけ」。
そしてももクロが売上のあまり変わらないハロプロにはっきり差をつけたもの、
その大きな違いも、どちらかというと「Z以降のサブカル的話題性」だと思います。


最近の人気アイドルに共通する、
アイドル自身のアプローチの不在。


* * *


では実際その「アイドル自身のアプローチ」って、
一体何なのでしょうか。


作られた作品ではなく、距離感・ハードルを持たず
アイドル自身の動きと歌で、大衆の心に強く食い込んでいく・・・



ん?


あぁ、これって・・・



「歌番組」じゃないか。



限られた時と空間の中で、「生きたパフォーマンス」を届ける場所。
限られているからこそ、短時間に全てを見尽くす事ができる満足感、
そして日常の中に流れているからこそ、一瞬でより高まる高揚感。



歌番組がなくなった時、沢山の音楽と共に
それまでアイドル文化の根幹にあった「歌って踊る」というアプローチも、
行き場をなくしてしまった。



その代わりに秋元康率いるAKB陣営がアイドルというジャンルへ引き出してきたもの、
それが「握手ができる」というアプローチ。
そして対抗するももクロ陣営が引き出してきたものが、
プロレスというの「ショーの魅せ方」。



・・・アイドルの持ち味でもある”軽さ”をうまく使って、
他ジャンルにはない強烈な魅せ方を引き出せた事により、
アイドルは今日本の音楽業界で一番強いジャンルに登ることができた、と。



でも、AKBだけじゃなくももクロもアイドル特有の歩き方で
紅白を決めた今だからこそ、はっきり覚えた感触がある。



「アイドル文化は、一体どこにいくのだろう?」


* * *


2012年は、非・歌番組的アプローチで爆発したアイドル業界が、
一つの頂上に立った年でした。
前田敦子が国民的行事のような見送られ方で卒業し、
戦国時代の象徴、ももいろクローバーZが悲願の紅白出場を決めた。



一方で、2012年の下半期あたりから少しずつ
アイドルが新たな道を歩むという知らせも増えてきています。
本来ならアイドル文化の正当な評価対象であった
「生きたアプローチ」を伝える機会を掴めずに、
時代の中で静かに消えていく女の子たち。



2012年を頂点に、アイドル戦国時代はアイドルたちに
沢山の恩恵をもたらした時代だったかも知れません。
しかし、一方で歌番組無きこの時代を生き抜くために
アイドルの大切な根幹も安易に、配りすぎてしまったような気もします。




アイドルはこれから、どこへ向かうのかなぁ。


そして私たちファンは今、アイドルの何を見つめているのでしょうか。




2013年は、そういう所にも一度視線を戻してみたいなと思っています。