小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「前田敦子と福田明日香の交差点」

今日、ミュージックステーションで放送された「前田敦子卒業SPメドレー」。

前田敦子最後のMステ涙で熱唱(デイリースポーツ)


溢れる涙に、時折声を詰まらせながら前田敦子がアイドルグループ・AKB48のメンバーとして歌い上げた、Mステ最後のステージでした。
それを見ながら私がふと思い出していたのは、今からもう13年も前、アイドルグループ・モーニング娘。福田明日香の、同じMステ最後のステージです。

* * *

「私が、ミュージックステーションで歌うのは、今日で最後です。7人になった娘。たちを、私も応援していくので、皆さん応援よろしくお願いします。」

淡々と、同時に少し照れくさそうに目線を外しながら視聴者に挨拶をする、14歳の福田明日香。
「応援よろしく〜」の所で彼女は頭を下げるのですが、次の瞬間、頭を上げた彼女はそれまでとはまったく変わり、一切目を逸らさずにこう言い切ります。

「・・・そして、今までありがとうございました。それでは聴いて下さい」


こうして福田明日香がMステ最後のステージで歌ったのが、
彼女のために作られた卒業曲「Never Forget」。



当時後ろでコーラスを担当していた年上の在籍メンバーは、顔がこわばっていたり、涙をこらえきれず指で拭ったりしています。
しかし、福田明日香は、泣きません。
涙どころか、時折笑みもたたえながら、途切れることなく最後までしっかり歌い上げました。

アイドルグループを作り、育て、ブレイクを達成してグループを離れていく前田敦子。
一方、アイドルグループを作り、育て、ブレイクを見る事なくグループを離れていった福田明日香。
13年の時を超えて2人の第一期メンバーが重ねた、2つの国民的アイドルグループのステージから浮かび上がったのは、まさに「青春の涙」「歌手の矜持」

Mステのステージで、声を詰まらせながら歌うAKB48前田敦子の一瞬一瞬は、この7年の歩みを思わせるには充分すぎる時間でした。
そこで零れた彼女の涙は、間違いなく彼女がアイドルとして生きていた「青春」、その全ての証明なのだと思います。
しかし、それを踏まえた上でモーニング娘。福田明日香を思い返したとき、彼女の泣かないという選択には「プライド」が見えたんです。
最後のステージで目線を逸らさずに別れと新たな旅立ちの物語を歌った福田明日香の一瞬一瞬は、アイドルグループのメンバーである前に、間違いなく歌手のラストシーンでした。


今思えば、時を越えた2つの旅立ちの交差点とはそのまま、アイドルグループ・モーニング娘。/AKB48が内包している本質が、一番ストレートに表現された瞬間だったのかもしれません。
そして当時のビデオを見返すと今日の前田敦子と同じく、やはり福田明日香も、番組ラストに司会のタモリから花束を贈られていたんです。

花束をもらった瞬間、顔をくしゃくしゃにして泣いた2012年のAKB48前田敦子。
1999年のモーニング娘。福田明日香は最後のその一瞬さえも、やはり笑顔でした。


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