小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけ続け、執筆業になりました。2017年に初の単著がでました(乗田綾子名義)。



2017年9月発売の『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)については【こちら】

「現在のアイドル、これからの世代」

これのある意味続き。


前時代の本質を探ろうとする事で、
今までのアイドル文化の流れがなんとなく形になって見えた気がしました。
そこではっきりしてきた年代も含めてちゃんと一旦整理してみる。


・アイドル第一世代(50〜64年生まれ)
 アイドル=創造の象徴 (時代背景:戦後&高度経済成長)

・アイドル第二世代(65〜79年生まれ)
 アイドル=破壊の象徴 (時代背景:昭和末期&バブル景気)

・アイドル第三世代(80〜95年生まれ)
 アイドル=育みの象徴 (時代背景:平成&バブル崩壊〜不況)


その時代のアイドルって、
「時代背景」×「若者の価値観」が大きく関係してるのかなぁと。


となると、次の世代になる


・アイドル第四世代(96年生まれ〜)


が生み出したアイドル、それはいわゆる「アイドル戦国時代〜」のグループなんですけど、
(モー娘。の黄金期収束後に物心つき、AKB〜を原風景として育った世代)
それはどんな意味合いを持って生まれたのかなっていう。



「真・アイドル戦国時代とは何だったのか」



今までを振り返ると、若者の中で決定的変化が見られた時に、
次時代のアイドルが誕生する傾向があるっぽいんですよね。

50〜64年生まれを原点とすると、
65〜79年生まれにはそこから、高度経済成長後の成熟による価値観の決定的変化があった。
80〜95年生まれにはさらに、大不況とネット誕生による価値観の決定的変化があった。


じゃあ80〜95年生まれと、96年〜00年代生まれの間はどんな決定的変化で区切れるか、
っていうとやはり、


「ブログ&SNS誕生」じゃないかと。


80〜95年生まれにとって、ネットが形成した価値観はあくまでも
「SNS以前」の価値観だったと思います。
私たちにとっての原風景は、yahooや各種HP、掲示板など
ある程度情報が均一に集約されていた場所で、
そこに自分から情報を取りに行き、情報はあくまでも「補足的に利用するもの」だった。

しかし96年〜00年代生まれあたりが物心ついた頃からは、ブログとSNSが普及=原風景となり
情報は取りに行くだけではなく、「自ら発信するもの」という意味合いにもなった。


ここが若者の価値観に新たな「決定的変化」のしおりをはさみ、
AKBを筆頭に、次世代のアイドルを量産させたのではないか。


そのへんを考えると
96年〜00年代生まれ=現在の若者にとってアイドルは、
「自立の象徴」ってのが一番近いんじゃないかな。


もちろんまだここは進行中の時代だし、まだ正解はわかんないけど、
でも前世代の黄金期モーニング娘。が皆で「育んだ」コンテンツだったとしたら、
AKBはまさにそれぞれに「自立」を求めているコンテンツのように思うんですよね。
”ガチ”だったり、”総選挙”だったり、"ぐぐたす"だったり。
(ファン=アイドルじゃなく、ファン≠アイドル(人間と人間)という関係)


ももクロも、私は好きじゃない言い方ですけど
”アイドルっぽくない”と言われるやり方が受けているのは、
若者が既存の枠にとらわれない、価値観の「自立」を求めているところにあるような気がする。


これらを考えると、アイドル戦国時代というのは
「”自立”に移行していった次世代の価値観によるムーブメント」ってのが一番しっくりくるんじゃないでしょうか。
そういう意味では以前「アイドル戦国時代のその先 〜新興国と総括〜」内で引用した、
さやわかさんの「アイドル戦国時代とはアイドルファン総DD化のこと」っていう提言もしっくりくる。
多分私の言葉をわかりやすく言うなら、さやわかさんのそれになるし、
「アイドル戦国時代」というバズワードになるのでしょう。


そんな感じ。


* * *


あと今回派生して考えたのは、
アイドル界でもう一度秋元康にライトが当たった意味。


最初に言ってしまうと、
AKBがもう一度当たったのは単なる「巡りあわせ」だったんだと思う。
秋元康はAKBの前にも「ねずみッ子」「チェキッ子」「推定少女」と色々数は撃っていたわけだし、
それらは事実当たらなかったわけで。
AKBも彼にとっておニャン子以降の十数年間における、
数撃ちまくった弾の一つだったと思うんですよね。
でもAKBは見事に当たった。それはなぜか。



はっきり言えるのは、
秋元康はアイドルを「消費コンテンツ」として捉えている所がすごく強い。
アイドルは人によって
鑑賞品だったり、もっと身近な人間関係の一部として見ていたりする対象なんだけど、
秋元康にとっては、大意でアイドルは「時代の消耗品」なんです。
だから”少女たち”に過激さや破壊(傷つける)を追求する事ができるし、手段も厭わない。
(変な話、自前のアイドルと結婚できたのも、そういう見方を持っていたからだと思う)


そしてその彼が撃ち続けた、アイドルという「消費コンテンツ」の弾はおニャン子から12年後、
ブログやSNSによって「自立」という欲求を持ち出した世代の心をたまたま射抜いた、
ブレイクの火種の本質は、それだけなんですよね。


まぁそのたまたまをうまく軌道にのせたのは他ならぬ秋元康の采配があっての事なんだろうけど、
その一球からAKBは猛烈な勢いをつけ、CD業界の変化も追い風になって
今や日本の一大ビジネスにまで大きく成長した、と。

で、今回実際一番気になるのはここなんですけど。



「AKBは再び「冬」をもたらすのか」



秋元康が投じた、おニャン子という究極の消費コンテンツによって
一度アイドル文化は冬眠に入った過去があります。

じゃあAKBという同質の弾は、
もう一度アイドル文化に冬をもたらすのか?


今回考えた色んなヒントを総合するに
今の結論だけいえば、『多分、文化に冬は再来しない。』
なぜかといえば、現代社会にはまさに
「価値観の多様化」というセーフティーネットがあるから。


それによって実際前世代末期のハロプロは延命に成功したし、
次世代の申し子である戦国時代のアイドルたちも色んな形で、延命したり着地点を見つけられる環境は整っている。
だからアイドル文化自体は当分、多少の浮き沈みは考えられるものの
基本的には安定した気流の中を飛び続けて行くと思われます。


しかし。

アイドルを「消耗品」としてとらえている運営下のグループは、
すこし別問題になってきます。



「接触という破壊」


接触という行為だけは、
前世代のおニャン子が持っていた「究極の破壊」とまったく同じ意味合いを持ってるように見えるんですよね。

握手会という機会は一見、次世代の価値観に沿った「自立」の象徴であり、
ファンとアイドルが人間対人間として気持ちをやりとりできる、そういう空間に見えるんですけど、
アイドルにとってみれば接触とは、時に一種の交流を越えて
一人の人間である自分と、アイドルという自分の狭間に置かれる場所でもあると思うんですよね。

そしてその場所に置かれる回数が多ければ多いほど
彼女たちは自分とアイドルという狭間の中で、何回も何回も価値観を問われていく。



これってまさしく「究極の破壊」なんじゃないですかね。

アイドルビジネスとファンの気持ちという摩擦によって、
一人の女の子の価値観が何回も何回も壊されていく「破壊」。


おニャン子と形は違えど、
秋元康がAKBを立たせたのは、まさにおニャン子と同じ「究極の破壊」の最前線なんです。


これを考えた時、まさに
接触依存アイドルの「究極の破壊と過激」の先には、何が残っているのか、と。



そして多分、AKBに関していえば
秋元康は消耗品として売り出した彼女たちに、将来何が残るのか、知っている。
きっと「何も残らない。」
だから彼が関わったAKB映画のタイトルは
「10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」であり、
「少女たちは傷つきながら、夢を見る」だったのではないか。*1


しかし、現時点でのメンバーやファンの捉え方は違う。
例えばAKBには、愛や絆があり、その先には夢がある。
メンバーとファンたちは自分たちの「自立」を追いかけている。

そしてそれは多分、同等の接触を行っているアイドル界隈も含め
現在の若者全体が共有している希望ともいえる。


今の時代にアイドルという「時代の消耗品」を抱えた秋元康が
再度引っぱり出された意味って、
まさにそこなんじゃないかと思います。


今の、そしてこれからの若者が求めはじめている「自立」とは、なんなのか?
破壊なのか?
それとも共存なのか?




ここまで考えたけど、やっぱり私には正解はわかりません。
私はあくまでも前時代の価値観の人間なんですよね。

このブログを読んでくれる人って書いてる私の性質的に
あんまりガチAKBヲタの若者はいないと思うんですけど、
この事をまさにAKBを支持するピンチケ層に聞いてみたいな。
これからの自分たちは、どうなっていくと思うのか。


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「震災と少女たち」

*1:ここで怖いのは、秋元康はある程度その先まで読んで、あえて接触という台本を書いてる感じがあるんだけど、他運営で接触やらしてる上層部は、そこまで果たして考えて接触やってるのか?というとこ。単なる販促の目的だけで過度・過剰な接触をやらせる事は、体力的にもそうだし、精神面での摩耗や、恋愛方面での価値観の麻痺でヲタと繋がってクビとか、そういう事になりかねない。っていうかすでにちょっとずつそうなってる事例がある。