小娘のつれづれ

一人で自分の”好き”を追いかけています。

「秋元康の名言に見る「夢」の怖さ」

ちょっと前になりますが、秋元康がgoogle+で、AKB48の「非」選抜メンバーに贈った言葉が名言という記事がありました。(2012.1.16付)

とりあえずそちらから、その名言の内容を引用。元はGoogle+での秋元康氏の発言です。

成功するためには、何が必要か?
………運です。
僕はこの38年間、スターと呼ばれる人たちを見て来ました。
僕も何人もプロデュースして来ました。
そこで見たものは、運です。
どんなに実力があっても、
運がないとスターにはなれないのです。

じゃあ、努力をしていても無駄なのか?
努力は報われないのか?
そんなことはありません。
努力は必要です。
言い方を変えれば、
努力は成功するための最低条件です。

みんな、必死に努力して、
じっと、チャンスの順番を待つしかないのです。
大ベストセラー「もしドラ」を書いた岩崎夏海は、僕について16年後に成功しました。
僕のドライバーをやっている時も、
ずっと、小説を書いていたんですよ。

いつか、必ず、チャンスの順番が来ると信じなさい。
自分の境遇の悪さだけを嘆いていても始まりません。

頑張れとしか言えないんだ。

僕がチャンスを作っているのではありません。
僕からのチャンスを待っている間はだめですね。
「私だって選抜に入れば…」
「私だってドラマに出れば…」
「私だってコマーシャルに出れば…」
それがチャンスだと思っているかもしれませんが、それは違います。

それは、チャンスの出口です。
みんなに見つけて欲しいのは、
チャンスの入り口です。

例えば、松井咲子。
彼女のチャンスの入り口は、
音大に入ったことです。
趣味の域を越えているから、
代々木でコンサートをやった時、
「ポニーテールとシュシュ」を
弾いてもらったのです。
「TEPPEN」にも繋がり、
ぐぐたすで、さらにブレイクした
ということです。

アルバムを出すのは、
チャンスの出口です。
このアルバムを名刺がわりに
どう進むか?です。

選抜も、コマーシャルも、番組も、
僕が一人で決めているわけではありません。
最終決定権は僕にありますが、
いろいろなスタッフの意見を聞きます。
そこに、もっと、いろいろな名前が出て欲しいんですよね。
つまり、松井咲子のような小さな努力や運が見えて来ないんです。

今の自分にできることを考えなさい。

確かに、人の心にグサっと刺さりこむようなメッセージで。はてなブックマークでも感銘を受けたコメントが見られます。

「これって仕事でも言えるよね。」
「「努力は成功するための最低条件」「チャンスの入り口」やっぱりこの人あってのAKBの成功だなあ。」
「どうせロクでもねーこと言ってんだろと思って見てみたら、めっさ刺されたオレがいた」
「さすがです。すべてに納得感。」


うーん、そうか?


確かに、秋元氏の言ってる事はある意味正しいんですよ。
AKBの子たちが夢見るステージは実力以上の要素が左右する場所で、その入り口へ飛び込む数少ないチャンスを掴むためにこそ、努力は必要である。
それは本人の意志で飛び込んだ”職場”でもあるし、彼女たちを売り出していくビジネスマンとしては正しい。

でも、彼女たちが引き換えにAKBビジネスに捧げているのは、たった一度の青春。
秋元氏はビジネスプロデューサーでありながら、思春期の少女たちを導いている以上、先生や父親的な存在でもある。

アイドルたちの信じる「保護者」としては、正しい言葉なのか?

アイドルのプロデュースは、お金が生まれるビジネスであると同時に、少女たちの人生の行方をまるごと握り続けているという事実でもあるはずなんです。
努力とか運とかチャンスの入り口といった綺麗な言葉を用いたとしても、「まだ自分が何者かすら見いだせていない幼さの行方」を大人が握り続けている事実は、最後の最後に手放してはいけない事実のはずなんです。

* * *


でも、そこでふと自らを振り返ってみると

なんか、このへんの悪さは「もしかしたら私達アイドルファンも持ち合わせているんじゃないか?」とも思いました。


補足で、こういう話もあります。
モーニング島田編集長の、「あきらめなければ夢は必ずかなう」ほど悪質な言説はない、という話について

およそ「あきらめなければ夢は必ずかなう」ほど悪質な言説はないと思う。
こういうコトバが幅をきかすと夢を途中であきらめる若者は
「夢がかなわなかったのは私が途中であきらめたからだ」
という自責の念をしょいこまなければならなくなる。

若い女の子をビジネスとして仕立てる大人たちが、運営として発する綺麗な言葉は、若い彼女たちにとって、綺麗だけどとても威力がある諸刃の剣。
そして私達ファンの”応援”は時に無数の砥石となり、その剣を恐ろしいほど磨き上げる。

彼らが商品化し、私たちが支えているアイドルという職種ほど、無責任で悪質な「夢」の象徴はないのかもしれない。

無責任で悪質だからこそまばゆい、その「夢」に女の子たちの、大事な一度きりの青春を捧げさせている分、彼女たちと向き合う私たちはもっと彼女たちを冷静に見つめ、そして真摯に行動しなきゃいけない。


なんで今更この事書こうと思ったかというと、「AKBついに初の東京ドーム公演開催」のニュースで色々思うとこがあったからなんですが、そっちはとりあえずSSA終わってから、書けるようだったら書こうと思います。
今日はこのくらいで。